かぐや
読み:かぐや
外語:SELENE: SELenological and ENgineering Explorer

 JAXAが、宇宙科学研究所(ISAS)とNASDAだった頃から共同で開発した大型月探査機で、月周回衛星(衛星の衛星)。
目次

情報

基本情報

沿革
 「かぐや」落下位置は、南緯65.5度、東経80.4度、GILLクレータ付近である。

特徴
 衛星は、主衛星と、2機の子衛星(リレー衛星、VRAD(ブイラド)衛星)で構成される。

主衛星
 縦横2.1m、高さ4.8mの角型の衛星である。
 主に次のようなパーツで構成されている。

子衛星
 子衛星(リレー衛星、VRAD衛星)は、更に高い楕円軌道を周回し、電波の中継用に用いる。
 それぞれ、質量約50kgの八角柱の形状をしている(1m×1m×0.65m)
 子衛星が二つとも分離成功した2007(平成19)年10月12日、リレー衛星は「おきな(OKINA)」、VRAD衛星は「おうな(OUNA)」と命名された。それぞれ、竹取物語に登場するお爺さん(翁)とお婆さん(媼)で、かぐやを見守るイメージから命名されたとされる。

主要ミッション機器
 主探査機には、ハイビジョンカメラを含む次の15種類の観測機器が搭載され、月面上空100kmの極・円軌道を周回して月面の水や鉱物などを観測し、更にレーダーで地下5kmまでの構造を調査する。
  1. 蛍光X線分光計
  2. ガンマ線分光計
  3. 粒子線計測器
  4. 地形カメラ
  5. マルチバンドイメージャ(MI)
  6. スペクトルプロファイラ(SP)
  7. 月レーダサウンダー(LRS)
  8. レーザ高度計
  9. 月磁場観測装置
  10. プラズマ観測器
  11. プラズマイメージャ
  12. 相対VLBI用電波源-1,2
  13. リレー衛星搭載/対向中継機
  14. 月電波科学観測
  15. 高精細映像取得システム
 地形カメラ、マルチバンドイメージャ、ハイビジョンカメラに使われているレンズは、富士フイルムグループのフジノンが開発したものを用いている。

目的
 この計画の主要な目的は次の二つである。
 この探査機は2007(平成19)年10月5日に月の周回軌道に入った。以降は1年間かけ、地形観測や、月を構成する物質(元素の分布状況)などの観測を行なう予定である。これにより、謎の多い月誕生について、何らかの情報が得られると期待されている。
 この月周回軌道への投入だが、難易度は非常に高いものだった。なぜなら、月と地球の重力の強さなどから、軌道が安定しないためである。

名前
 名前SELENEはギリシャ神話の月の女神セレーネに由来する。これはローマ神話のLunaに相当する。
 愛称の「かぐや」は公募によるもので「かぐや姫」にちなむ。これは打ち上げ前の2007(平成19)年6月6日に発表された。約1万件の応募のうち、最多の約1,700件を占めたとされる。

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