分娩
読み:ぶんべん

 哺乳類など胎生の動物において、胎児が雌の胎内(子宮内)より胎外へと出て行くこと。および、その過程。お産、出産。
目次

概要
 分娩は、大きく三期に分けられている。

特徴

回旋
 胎児も子宮からすんなり外に出られるわけではなく、狭い部分を通る必要があるために、幾度か向きなどを変える動きをする。
 胎児は出産完了までに大きく4回の動きをするが、これを第1回旋から第4回旋と呼ぶ。これは胎児が自発的にするため、産科での出産時でも無理な力を加えて介助したりはしない。

分娩 第1期(開口期)
 分娩の始まりから子宮口が全開するまでが第1期、別名 開口期である。初産で12時間程度、経産婦ではその半分程度を要する。
 人間の場合、概ね妊娠37週以降、42週未満が正常とされる。この頃になると、子宮収縮が周期的になり(「産気づく」という)、やがて胎児は頭で子宮口を広げていくため、陣痛が始まる。
 陣痛(子宮収縮)後は子宮内壁に密着していた卵膜が剥離し、この中に羊水が入り込む。これを胎胞といい、子宮下部や頸管を押し広げる働きをする。子宮口が全開となり胎児が頸管へと下がった時に卵膜が破れ、中に含まれていた羊水が流出する。これが正常時における「破水」(正常破水)である。破水以降が分娩の第2期となる。
 第1期では第2回旋までする。まず胎児はアゴを胸側に引くように曲げる「第1回旋」をし、狭い空間を通れるようにする。次に横向きから正面・縦向きへと向きを90度変える。これを「第2回旋」という。

分娩 第2期(娩出期)
 子宮口が全開になってから子供が産まれるまでが第2期、別名 娩出期である。初産で2時間程度、経産婦ではその半分程度を要する。
 産科で出産する場合は、この頃に分娩台に乗る。分娩は児頭が見えてからも更に長い時間がかかるが、産科における分娩介助ではあまり拙速に分娩されることがないよう制御する。
 狭い産道(膣)を通る時に、胎児は反屈して恥骨をくぐり抜けるように動く。これが第3回旋である。
 児頭の娩出後、最後に第2回旋とは逆向きに肩が回る。これが第4回旋で、これで肩が娩出されるとあとは速やかに全体が娩出され、もって胎児の娩出が完了し陣痛も速やかに軽快する。

分娩 第3期(後産期)
 胎児娩出後に、最後に胎盤などが娩出されるのが第3期、別名 後産期である。初産で30分程度、経産婦ではその半分程度を要する。
 児が娩出されてもそれで終わりではない。児の臍帯(へその緒)はなお子宮内の胎盤へと繋がっているが、胎児が娩出されると子宮は収縮を開始、不要になった胎盤はすぐに剥がれ、やがてこれが娩出される。この付帯物が娩出されることを後産といい、これを終えることで分娩は完了する。

再検索