リチウム
読み:リチウム
外語:Li: Lithium
百近く存在する金属原子中で最も軽い
原子
。
目次
情報
基本情報
一般情報
原子情報
物理特性
同位体
性質
主な用途
抽出
埋蔵国
生産
元素分離技術
発見
発見者
名前
安全性
危険性
有害性
環境影響
主な化合物
前後の元素
情報
基本情報
一般情報
元素記号
: Li
原子番号
: 3
周期
: 2
族
:
1族
(IA族)、
アルカリ金属
分類:
典型金属元素
原子情報
原子量
: 6.941(2)
電子配置:
1s
2
、2s
1
[
He
]2s
1
原子価: 1
酸化数: 0、+1
物理特性
相
:
固体
融点
: 180.5℃
沸点
: 1336℃
CAS番号
: 7439-93-2
ICSC番号: 0710
同位体
質量数は、3から13までが確認されており、その中に核異性体も存在する。
安定同位体
は二つある。
6
Li
7
Li
同位体
核種
天然存在比
半減期
崩壊
崩壊後生成物
3
Li
‐
4
Li
‐
陽子放射
3
He
5
Li
‐
陽子放射
4
He
6
Li
7.59%
安定核種(中性子数3)
7
Li
92.41%
安定核種(中性子数4)
8
Li
‐
838m秒
β
−
崩壊
8
Be
9
Li
‐
β
−
崩壊
9
Be
10
Li
‐
中性子放射
9
Li
10m1
Li
‐
10m2
Li
‐
11
Li
‐
8.5m秒
β
−
崩壊
11
Be
12
Li
‐
中性子放射
11
Li
13
Li
‐
質量数8以上では、中性子放射や核分裂などを含む多様な追加の崩壊が観測されている。
特にリチウム11は、β
−
崩壊を基本としながら、様々な追加の崩壊により様々な崩壊後生成物を生じる。
性質
主な用途
電池としての用途のほか、
中性子
により核分裂を起こし
三重水素
を得ての
核融合
反応用材料などの用途がある。
有機化学では、メチルリチウムやブチルリチウムといった有機リチウム化合物を合成で用いている。
リチウム電池
(リチウム一次電池)
弗化黒鉛リチウム電池
二酸化マンガンリチウム電池
酸化銅リチウム電池
リチウムイオン二次電池
バナジウムニオブリチウム電池
リチウムポリマー二次電池
抽出
リチウム鉱石から抽出することが可能だが、埋蔵量に限度がある。このため
希少金属
(レアメタル)に分類されている。
近年の日本は、南米諸国からの100%輸入に頼っている。これらの多くは、リチウムを含む塩湖の水を広い土地で1年以上掛けて自然蒸発させて資源回収するという方法でリチウムを得ている。
また現在、海水中に0.17ppm含まれるリチウムを効率良く抽出するための技術開発が進められている。
埋蔵国
リチウムは元素番号3だが、ビッグバン元素合成の際には痕跡程度しか生成されなかった。しかしその後の恒星での核融合で生成されたため、地球上にも宇宙全体にも広く分布する元素である。地球では南米大陸のアンデス山脈沿いに大部分が遍在していて、主として火成岩や塩湖の
鹹水
中に含まれている。また反応性が高いことから
単体
では存在しない。
現時点での最大産出国はチリであり、海水中に多く含まれているリチウムを抽出し生産している。ボリビア南部のウユニ塩原にも膨大な量があると見込まれ、一説では世界埋蔵量の半分以上が存在するとする説もあるが、現在ボリビアはそれを抽出する技術を持っていないため全く生産されておらず、また実際の埋蔵量も不明である。
既知の範囲内での埋蔵量(現在の技術で採掘できる量、但しボリビアを除く)上位は、USGS "Mineral Commodity Summaries 2017"によると次の通り。
チリ 750万トン
支那
320万トン
アルゼンチン 200万トン
豪州 160万トン
ポルトガル 6万トン
世界合計 1,400万トン
既知の範囲内での資源量(現在の技術で採掘できる量=埋蔵量に、将来的には経済的に採掘可能となる潜在的な量を足したもの)上位は、USGS "Argentina Lithium Map"(2017)によると次の通り。
アルゼンチン 900万トン
ボリビア 900万トン
チリ 750万トン
支那
700万トン
米国 690万トン
世界合計 4,700万トン
これら事情からリチウムの生産国および供給企業は限られており寡占状態にある。
生産
リチウムの主要生産国は豪州、チリ、アルゼンチンの3ヶ国である。
2016(平成28)年のリチウム(純分)生産量は、はUSGS "Mineral Commodity Summaries 2017" によると次の通り。
豪州 14,300トン
チリ 12,000トン
アルゼンチン 5,700トン
支那
2,000トン
ジンバブエ 900トン
世界合計(除・米国) 35,000トン
合計値から米国が省かれているのはUSGSの資料で開示されていないため。
2018(平成30)年頃の情報では、炭酸リチウム生産ではチリ・アルゼンチンの2ヶ国で世界の輸出量の8割程度を占めており、輸入の上位3ヶ国は
支那
、
南朝鮮
、日本である。
元素分離技術
2014(平成26)年2月7日、独立行政法人日本原子力研究開発機構(JAEA)は、「
海水中のリチウム資源を回収する革新的な元素分離技術を確立
」と発表した。
この技術は、次のような特徴がある。
電源不要。反応によって電気を発生させながら海水よりリチウムを分離することができる
イオン伝導体を用いた新元素分離技術で、従来の塩湖からの回収技術等と比して、短時間、省スペースで回収可能
使用済リチウムイオン電池からも回収可能で、貴重なリチウム資源の循環型社会が実現可能
この技術を用いると、希塩酸中に塩化リチウム(LiCl)が溶けた状態でリチウムが得られるが、これに
炭酸ナトリウム
(Na
2
CO
3
)を加えて炭酸リチウム(Li
2
CO
3
)にして沈殿させ、この沈殿物を濾過して乾燥させれば、リチウムイオン電池の原料になる炭酸リチウムの粉末を作ることができる。
また、リチウム分離過程で陽極に水素ガス、陰極に塩素ガスが生成されるが、これらも様々な産業で用いることができる。
発見
発見者
1817(文化14)年にスウェーデンの科学者ヨアン・オーガスト・アルフェドソン(Johann August Arfvedson)が鉱石中に発見した。
翌年にはスウェーデンの科学者
ベルセーリウス
により単離された。
名前
化学名Lithiumは、鉱石から発見されたので、ギリシャ語で「石」を意味するλι'θοσ(li'thos)から付けられた。
安全性
危険性
引火点: (該当資料なし)
発火点: 179℃
爆発限界: (該当資料なし)
有害性
刺激
腐食性: 眼、
皮膚
、気道に対して腐食性を示す。
刺激性: (該当資料なし)
感作性
: (該当資料なし)
毒性
急性毒性
: (該当資料なし)
慢性毒性
: (該当資料なし)
がん原性: (該当資料なし)
変異原性
: (該当資料なし)
生殖毒性: (該当資料なし)
催畸形性
: (該当資料なし)
神経毒性: (該当資料なし)
環境影響
分解性: (該当資料なし)
蓄積性: (該当資料なし)
魚毒性: (該当資料なし)
主な化合物
色々な酸と塩を作る。その多くが無機工業薬品として使われている。
亜硝酸リチウム (LiNO
2
) (13568-33-7)
塩化リチウム (LiCl) (7447-41-8)
珪酸リチウム (Li
2
SiO
3
) (12627-14-4)
酢酸リチウム (LiCH
3
COO)
酸化リチウム (Li
2
O)
臭化リチウム (LiBr) (7550-35-8)
硝酸リチウム (LiNO
3
) (7790-69-4)
水酸化リチウム (LiOH) (1310-65-2)
水素化硼素リチウム (LiBH
4
) (16949-15-8)
水素化リチウムアルミニウム (LiAlH
4
) (16853-85-3)
炭酸リチウム (Li
2
CO
3
) (554-13-2)
弗化リチウム (FLi) (7789-24-4)
メチルリチウム (CH
3
Li)
モリブデン酸リチウム (Li
2
MoO
4
) (13568-40-6)
硫化リチウム (Li
2
S)
硫酸リチウム (Li
2
SO
4
・H
2
O)
前後の元素
2
ヘリウム
‐ 3
リチウム
‐ 4
ベリリウム
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