ナトリウム硫黄電池
読み:ナトリウム-いおう-でんち
外語:sodium-sulfur battery
充電
して使用できる
二次電池
の一種で、世界初のメガワット級電力貯蔵システムである。なお、NAS電池は
日本ガイシ
の
登録商標
。
目次
概要
特徴
構成
動作原理
放電
充電
事故
概要
負極に
ナトリウム
(Na)、正極に
硫黄
(S)、両電極を隔てる
電解質
にファインセラミックスを使用し、硫黄とナトリウムイオンの化学反応で充放電を繰り返す二次電池(充電池)である。
電解質のファインセラミックスはナトリウムイオン伝導性のあるベータアルミナが使用されており、負極物質と正極物質を接触させることなく、両極間をナトリウムイオンだけが移動することで、充放電が達成される。
大容量、高
エネルギー密度
、長寿命が特長で、一般的な
鉛蓄電池
の約3倍の電力を貯蔵することができる。充放電に伴う劣化が少ないことから、約15年の長期にわたって利用でき、長期間安定した電力供給を可能とする。
特徴
構成
日本ガイシのナトリウム硫黄電池(NAS電池)は、電池一つが単電池(
セル
)と呼ばれる円筒状に密封された構造となっている。
中心が負極のナトリウム、外側が硫黄で、それをファインセラミックスが仕切っている。
これを多数同時に使うことになる。使用時は、セル中を300℃に保つ。この時、ナトリウムと硫黄は液体で、電解質は固体である。
動作原理
放電
負極のナトリウム(Na)が電子(e
−
)を放出してナトリウムイオン(Na
+
)となると、電子は外部回路に流れ電力を供給し、ナトリウムイオンは電解質を通り正極に移動する。
正極では、硫黄(S)が外部回路を巡って来た電子によりナトリウムイオン(Na
+
)と反応し、多硫化ナトリウム(Na
2
S
x
)に変化する。
この一連の反応により、負極のナトリウムは正極に消費され減少することになる。
充電
外部から電力供給(充電)があると、放電の逆反応が起こる。
充電時は、電子が負極に供給される。この時、正極の多硫化ナトリウム(Na
2
S
x
)はナトリウムイオン(Na
+
)、硫黄(S)、電子(e
−
)に戻り、ナトリウムイオンは電解質を通り負極に移動する。
負極でナトリウムイオンは電子を受け取り、ここでナトリウムに戻る。
この一連の反応により、正極に消費され減少していたナトリウムは負極に戻ることになる。
事故
2011(平成23)年9月21日、日本ガイシが製造し、三菱マテリアル筑波製作所(茨城県常総市)に設置されていた
東京電力
所有の電力貯蔵用NAS電池の火災事故が発生した。
2011(平成23)年9月21日07:20(
20日
@972)頃: 火災発生
2011(平成23)年9月21日15:55(@329)頃: 火勢鎮圧(消防判断)、以降小康状態となる
2011(平成23)年10月5日15:25(@309): 鎮火確認(消防判断)
他で同様の問題は出ていないが、原因が不明ということで、原因究明と再発防止策の確立までの間は安全のためにNAS電池の使用停止が日本ガイシから要請されている。
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