キムチ |
辞書:科学用語の基礎知識 化学物質・食品編 (NFOOD) |
読み:キムチ |
外語:<KIM><CHI> |
品詞:名詞 |
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概要 |
白菜などの野菜に、薬念(<YANG><NYEOM>(ヤンニョム))と呼ばれるタレ(唐辛子や海老のだし汁、塩辛、山菜や魚介類など)を入れて漬け込んだもの。
漬け込む素材に応じて、白菜キムチ、キュウリキムチ、大根キムチ、蓮根キムチなどと呼ばれる。
乳酸菌によってタレが発酵することでアミノ酸が生成され、旨味を増す。この時使われる乳酸菌は乳酸菌の代表属ラクトバチルス属に属する、Lactobacillus kimchiiという桿菌である。
特徴 |
朝鮮食文化の代表 |
キムチは朝鮮食文化の代表である。それ以外に他国に自慢できる特徴的な食文化は見られないことから、朝鮮おける、唯一の食文化ともいえる。
しかし白菜や白菜漬けは支那より伝わり、唐辛子は日本より伝わったものであることから、本当の意味で朝鮮起源ではない。
キムチがどの文化圏に属するかと言えば支那と日本の文化となり、残念ながら朝鮮文化ではないが、それでも朝鮮を代表する食品である事実は揺るがない。
起源 |
キムチの元祖は、古く朝鮮において沈菜(<SIM><CHAE>(シムチェ))と呼ばれた食品とされている。これが現在の名キムチの語源となったが、キムチは朝鮮語の固有語であるため漢字で書き表わすことはできない。沈菜という名は、白菜を塩漬けにした際に野菜が沈むことから付けられたようである。
起源を探る上で大前提として、元々、朝鮮に白菜はない。そもそも、白菜は支那で18世紀頃に作られた比較的新しい野菜であり、しかも日本ですら量産可能になったのは20世紀に入ってからである。従って、どんなに早くてもこれより前に現在のようなキムチは世に存在しえないのである。
白菜がまだ無いため、「有史」以前は他の野菜を塩漬けなどにしたものが朝鮮で食べられていたようである。これらは、支那や日本にある一般的な漬け物と同様である。
やがて、支那で白菜が誕生した。白菜を塩水に漬けた漬け物と共に、白菜は大陸から朝鮮へと伝えられた。
発展 |
支那由来の白菜の塩漬けはその後、葫(にんにく)や塩辛、唐辛子などによって味付けされ、より美味しい、現在のようなキムチとなった。
そもそも唐辛子も、元々朝鮮にはない。16世紀、豊臣秀吉の対支那戦略における文禄・慶長の役(朝鮮出兵)の際に、日本より持ち込まれたとされる。しかも、唐辛子は防寒のため足袋の中に入れたもので、使用済みを日本兵が朝鮮で捨て、それを朝鮮人が拾って食べ始めたことが朝鮮における唐辛子食文化の起源とされている。
かくして、歴史的順序からすると、朝鮮に唐辛子がもたらされて、朝鮮の漬け物に使われるようになった後、少なくとも約2世紀以上の時を経て支那からもたらされた白菜の塩漬けと奇跡の融合を果たしたということになる。
現在のような白菜と唐辛子のキムチは、明治期以降に普及したものであり歴史は浅い。
各国のキムチ |
国際規格(Codex規格) |
各国で様々なキムチが作られているが、それを語る前に、キムチには国際規格(Codex規格)としてCODEX STAN 223-2001が存在している。
規格制定にあたり日本案と南鮮案が激突した経緯があるが、名称も日本案のkimuchiではなく、朝鮮語のkimchiが採用されるなど概ね南鮮案が踏襲された。これが日本のJAS法にも反映されている。
これによると、キムチとは次のような製品であるとする。
日本 |
日本でもキムチが普及した。但し、国産のキムチは、製造方法が本場物とかなり違っている。
即席で量産できたり、時間がたっても日本人の嫌う、乳酸による酸味が増えないような方法で作られている。つまりレシピが本場とは違う。
古くは、味付けに醤油を用いたりしたため、品名に「しょうゆ漬け」などと書かれていた。現在のものは、さすがに醤油は使わないようだが、それでも国産のキムチは酸味を隠すために糖分が多めになっており、甘口の味付けとなっている。
この甘いキムチについては、日本人の間でも賛否が分かれるところである。
支那 |
昨今では支那産の安価なキムチも多く出まわるようになった。味は朝鮮産より落ちるとされるが、朝鮮産のほぼ半額と比較にならないほど安い。このため、日本のみならず、朝鮮でも支那産キムチが多く出まわっているそうである。
しかし大量の寄生虫が含まれることが明らかとなり、大問題となった。そもそも支那産食品に安全性を求めること自体無理なことである。
リンク |
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