重油
読み:じゅうゆ
外語:heavy oil

 原油から、揮発油、灯油軽油を蒸留したあとに残る、重質の油のこと。
目次

概要
 原油は現在、圧力を掛けて蒸溜することで、その沸点差に応じて種類を分ける(分留)、ということが行なわれている。
 原油から、ガソリン原料となる揮発油や、灯油、軽油といったものを除いた残滓が、重油ということになる。
 重油は沸点が高く、一般に黒くてドロドロしている。かくして、この重粘質な油を、重油と呼ぶようになった。

特徴

税金
 現在は、消費税以外の税金は掛けられていない。
 軽油であれば軽油引取税、ガソリンならガソリン税が掛かるが、重油の場合はいずれにも対象外である。

種類
 日本では、重油はJIS K 2205-1980に規定がある。
 重油の種類は、動粘度により1種(A重油)、2種(B重油)及び3種(C重油)の3種類に分類する。更に1種は硫黄分により1号及び2号に細分し、3種は動粘度により1号、2号及び3号に細分する。
 また、品質は、内燃機関用、ボイラー用及び各種炉用などの燃料として適当な品質の鉱油であって、次の規定に適合しなければならない。
性状→↓種類反応引火点℃動粘度(50℃)cSt(mm2/s)流動点℃残留炭素分質量%水分容量%灰分質量%硫黄分質量%
1種1号中性60以上20以下(20以下)(注)5以下4以下0.3以下0.05以下0.5以下
2号中性60以上20以下(20以下)(注)5以下4以下0.3以下0.05以下2.0以下
2種中性60以上50以下(50以下)(注)10以下8以下0.4以下0.05以下3.0以下
3種1号中性70以上250以下(250以下)0.5以下0.1以下3.5以下
2号中性70以上400以下(400以下)0.6以下0.1以下
3号中性70以上400を超え1000以下(400を超え1000以下)2.0以下
 注)1種及び2種の寒候用のものの流動点は0℃以下とし、1種の暖侯用の流動点は10℃以下とする。

用途

A重油
 重油のうち、民間等でよく使われるのがA重油である。
 低硫黄の1種1号はLow SulphurからLSA重油と呼ばれ、次のような用途がある。
 高硫黄の1種2号はHigh SulphurからHSA重油と呼ばれ、次のような用途がある。

B重油、C重油
 重油のうち、民間以外でよく使われるのがBおよびC重油である。
 大型のボイラー、船舶、工場、火力発電所などの燃料として用いられている。

類似の油
 重油も他の油も、原油から分留して得る。このため、性状がよく似たものもある。
 例えば、A重油、軽油灯油は、性状がよく似ている。
 但し品質が異なり、もって用途も異なっている。
 乗用車のエンジンは、燃料が指定されているので、指定された燃料のみを用いるようにする。
 なお、値段が安いからとA重油を用いたりすると、「脱税」という「犯罪」になるので注意。

迷言

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