進行波炉
読み:しんこうはろ
外語:TWR: Travelling Wave Detector
原子炉のタイプの一つで、高速中性子炉の一種。略して「TWR」。
概要
劣化ウラン(非核分裂性のウラン238)を燃料とする、増殖炉の一種である。
ウラン238に中性子を衝突させてプルトニウム239を作り、このプルトニウム239を自発核分裂させることでエネルギーと中性子を取り出す原子炉である。反応および機構的には、高速増殖炉+プルサーマルである。
特徴
機構
核分裂時に作られた中性子が燃料のウラン238に衝突すると、それによりプルトニウム239が出来る。このため、連鎖的に、かつ持続的に、エネルギーを得ることができる。
日本では「もんじゅ」で知られる高速増殖炉は、作られた燃料を取り出して加工する手間が必要となる。対して進行波炉は、作られたプルトニウムを勝手に消費して反応が進むというのが特徴であり、加工する手間がない。核分裂性物質は、燃料棒への点火時にのみ少量必要(最初の中性子を作るため)で、一度燃焼が始まれば核分裂性燃料の追加をする必要がない。
また、使用済燃料が今までの原子炉より安全で、使用済燃料の処理なども必要がない。
利点
利点は、高速増殖炉などと同様で、燃料にならないウラン238(劣化ウラン)を燃料にして使うものである。
この技術の商用化実現を目指している米TerraPower社によると、8トンの燃料容器を使用すると、米国の250万世帯に1年間供給できる程の電力を作り出せるとしている。また、米国では現在70万トンの劣化ウランが貯蔵されているとされ、これを有効活用できるとしている。
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