禁制線
読み:きんせいせん
外語:forbidden line

 二つのエネルギー準位間の遷移の起こる確率が、通常のスペクトル線の遷移確率よりも遥かに小さく、量子力学的な条件のために遷移が事実上禁じられている場合に生じるスペクトル線のこと。
 禁制線の遷移確率は非常に小さいため、地上の実験設備では禁制線遷移が起こるより前に、原子同士の衝突によって光の放出すらせずに他のエネルギー準位に移ってしまう。そのため、地上で観測することは非常に困難だが、星間雲のようなガスの密度の低い天体ガス中では、ガスの原子同士の衝突頻度が小さいため、禁制線遷移が観測される。
 スペクトル線の名前で、禁制線の場合は名前に [] を付けて区別する。例えば、惑星状星雲、H II領域、活動銀河核(AGN)などで観測されるものに[OII]や[OIII]があり、波長は[OII]が372.7nm、[OIII]が495.9nm・500.7nmとなっている。

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