不確定性原理
読み:ふかくていせいげんり
外語:Unsch〓rferelation

 1927(昭和2)年にドイツのハイゼンベルクが提唱された原理量子力学において使われ、原理の名を持つが、現在は他の原理から導かれる「定理」として扱われる。
目次

概要
 不確定性原理とは、ある二つの物体の組み合わせにおいて、測定値に誤差を持たせずに物体を測定することができない、とする理論。
 当初は、ハイゼンベルクによって無条件で成立する式が示され、後に小澤正直によってこの式は条件によって成立しないことを示し、式を修正した。

特徴

ハイゼンベルクの不確定性原理
 次のような式で表わされる。
 εqηph/
 hはプランク定数π円周率、εqは測定する物体の位置の誤差、ηpは位置を測定したことにより物体の運動量に生じる乱れを表わす。
 この式は、もし、位置が誤差ゼロで測定できたとしたら運動量の乱れは無限大となり、つまり、測定した値は適当な値(乱数)になってしまうことを示している。
 このため、位置と運動量を、共に厳密に定める測定はできないとされてきた。

小澤の不等式
 これに異を唱えたのは、数学者の小澤正直・名古屋大学教授で、式を修正する「小澤の不等式」を提唱した。
 εqηp + σqηp + σpεqh/
 項が二つ増えた。新たに登場したσqとσpは、それぞれ物体の位置と運動量が測定前に元々持っていた量子ゆらぎを表わす。
 ハイゼンベルクはこの量子ゆらぎを、測定による誤差や乱れに含めて考えたらしい。しかし量子ゆらぎは物体が元々持っている性質であるため測定とは無関係に決定する。小澤教授はこれを厳密に区別し、新たな式を導いた。
 小澤の不等式の場合、εqやηpがゼロであっても、σqやσpが無限大であれば式は成立する、つまり量子ゆらぎが無限大でも測定は可能である。
 量子もつれになった2粒子であれば、誤差ゼロでの測定も可能であることが示された。

再検索