ポロニウムの同位体の一つ。自然放射能の一つ。
- 記号: 210Po
- 原子番号: 84
- 質量数: 210 (陽子84、中性子126)
- 天然存在比: ごく微量
- 半減期: 138.4日
- 比放射能: 1.66×1014 (166兆Bq/g)
- 比放射能の逆数: 6.02×10−15
- 崩壊の種類:崩壊後生成物
- 主な由来
- 210At (EC+β+崩壊) 半減期8.1時
- 210Bi (β−崩壊) 半減期5.013時 (ウラン・ラジウム系列)
- 214Rn (α崩壊) 半減期0.27μ秒
ポロニウム210は、ウラン・ラジウム系列に含まれる同位体であるため、ウラン238から始まる崩壊の継続により随時補充される。従って、半減期はごく短いながらも、ごく微量が天然に存在する。
また、グラムあたり約166兆ベクレルと、ごく微量でも強い放射能を持っており、これがキュリー夫妻によるポロニウム発見につながった。
人体内にはポロニウム210として約20ベクレルが存在するとされる。
微量でも強い放射能を持つことを利用して、ロシアでは暗殺にポロニウム210を使うらしい。
煙草の葉の中にもポロニウム210が含まれており、これに伴う健康被害(ガンなど)のリスクが様々に評価されている。
半減期は138.4日で、α崩壊する。
α崩壊し、α線を放出して、鉛の安定核種である鉛206(206Pb)になる。
稀だが、代わりに鉛206m(206mPb)になることがあり、この場合はIT崩壊時にγ線を放出する。
科学技術庁告示第五号 平成十二年科学技術庁告示第五号(放射線を放出する同位元素の数量等)における、ポロニウム210の実効線量係数(ミリシーベルト/ベクレル)は、次のとおりである。
- 吸入摂取した場合 (酸化物、水酸化物及び硝酸塩以外の化合物) 7.1×10−4
- 吸入摂取した場合 (酸化物、水酸化物及び硝酸塩) 2.2×10−3
- 経口摂取した場合 (酸化物、水酸化物及び硝酸塩以外の化合物) 2.4×10−4
- 経口摂取した場合 (酸化物、水酸化物及び硝酸塩) 2.4×10−4
つまり、10,000ベクレルを経口摂取した時の実効線量は2.4ミリシーベルト(2400マイクロシーベルト)である。
用語の所属
ポロニウム
同位体
関連する用語
放射線