アラン・マティソン・チューリング
読み:アラン-チューリング
外語:Alan Mathison Turing
イギリスの数学者。生没1912(明治45)年6月23日〜1954(昭和29)年6月7日。
1936(昭和11)年に思考・計算のモデル化であるチューリングマシンという計算機械モデルを発表した天才数学者で、第二次世界大戦中に外務省暗号研究所でドイツ軍の暗号解読を目的とした暗号解読機 "ボンベ(Bombe)" と、世界初の実用電子計算機 "コロッサス(Colossus)" を開発した。コロッサスの改良機 "コロッサスMk.II" がドイツ軍最高機密暗号を破り情報戦を制し奇襲に成功したおかげで、連合国軍のノルマンディー侵攻作戦は成功したと言われている。しかしコロッサス開発はイギリスの最高機密であり、戦後も1970年代に入るまでの30年間完全に隠匿され続け、チューリングはこれによって実績を認められる事は無かった。戦後は国立物理学研究所にて世界初のプログラム内蔵方式電子計算機 "ACE" の開発計画を提案したが、周囲の理解を得ることが出来ず計画は大幅に縮小され、1952(昭和27)年に "Pilot Ace" が一応の完成をみるのに留まった。チューリング自身は1947(昭和22)年にマンチェスター大学に移り、電子計算機開発というハードウェアの研究から、アルゴリズム等を中心としたソフトウェア研究に移行して、アルゴリズム自体を生み出すアルゴリズムを求める "機械は思考できるか" という問題提議を行なって人工知能という研究分野を生み出した。この研究で使われたチューリングテストという人工知能のテスト方法は人工知能分野では著名な手法として知られている。
1951(昭和26)年に39歳の若さで英国学士院会員に選ばれるが、同性愛者であったために風俗壊乱罪で逮捕され、1954(昭和29)年6月7日に青酸カリ入りの林檎を食べて自殺した。満41歳没。
1968(昭和43)年に世界最大の計算機学会ACMはチューリングの実績をたたえ、チューリング賞を創設し、これを最高の栄誉としている。
再検索