クリーンディーゼル
読み:くりーんでぃーぜる

 ディーゼルエンジンのうち、排ガス規制を達成するために改良が加えられたもの。
目次

概要
 ディーゼルエンジンは高燃費、高トルクという利点があるものの、燃料を自然着火させるために、不完全燃焼になりやすい。結果として、排ガスとして窒素酸化物や大気汚染物質が出やすいという欠点がある。
 日本では2000(平成12)年頃からディーゼルエンジンの排気ガスによる大気汚染が問題視され、2003(平成15)年から順次、地方公共団体によってディーゼル車を規制する条例が施行された。そこで、窒素酸化物や粒子状物質を減らした「クリーンディーゼル」が開発された。

特徴

コモンレールシステム
 ディーゼルエンジンはガソリンエンジンのような電気制御による点火機構がなくシンプルな構造なのが特徴であったが、クリーンディーゼルではコモンレールシステムという電子制御燃料噴射システムが追加された。
 高圧をかけ、なおかつ電子制御することで、燃料を完全燃焼に近付ける。これにより、有害物質を大幅に減らせるようになった。

振動と騒音の軽減
 ディーゼルエンジンは従来、大きな音や揺れが存在した。
 クリーンディーゼルではエンジンの構造自体が変わっており振動は低減され、またこのため静音化もした。従って乗り心地も向上している。

粒子状物質の抑制
 ディーゼルエンジンでは粒子状物質が生じるが、ここから排出される排気ガスをディーゼル微粒子捕集フィルター(DPF)で濾過する。
 これによって排出される粒子状物質の量を抑えられるようになった。

尿素SCRシステム
 ディーゼルエンジンで生じる窒素酸化物を浄化する機構である。
 燃料やオイルとは別に「尿素水」を随時補充する必要があるが、尿素を高温の排気に噴射することでアンモニア二酸化炭素に分解させ、発生したアンモニアによりエンジンでの燃焼で生じる有害な窒素酸化物(NOx)を還元する。具体的には窒素酸化物に含まれる一酸化窒素と二酸化窒素を無害な窒素と水に還元する。
 反応に使うのはアンモニアだが、アンモニアは有害であること、そしてなにより可燃性であるためそのまま車に補充するのは危険であるし、扱いも面倒である。そこでアンモニアから人体に無害な尿素(尿素はおしっこにも含まれる物質、ゆえに尿素)を作って用いている。

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