第三章 国民の権利及び義務
　第二十条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
　(2) 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
　(3) 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

　CHAPTER III. RIGHTS AND DUTIES OF THE PEOPLE
　Article 20.
　1. Freedom of religion is guaranteed to all. No religious organization shall receive any privileges from the State, nor exercise any political authority.
　2. No person shall be compelled to take part in any religious act, celebration, rite or practice.
　3. The State and its organs shall refrain from religious education or any other religious activity.

• 判決: 合憲 (1977(昭和52)年7月13日 最高裁大法廷)
• 争点: 津市体育館の起工式で、津市が大市神社の宮司ら4名の神職主宰のもとに地鎮祭を挙行したことは違憲ではないか。
• 判決理由: 地鎮祭は日本の世俗的慣習であって、神道の形式を借りていたとしても、もはや宗教行為とは認められない。また支出と、安全を祈願するという目的・効果は妥当である(いわゆる「目的効果基準」が判例となった判決である)。
• 判決文
  • 第一審判決 津地方裁判所 昭和40年(行ウ)第2号
  • 控訴審判決 名古屋高等裁判所 昭和42年(行コ)第8号
  • 上告審判決 最高裁判所 昭和46年(行ツ)第69号

• 判決: 原告勝訴 (1996(平成8)年3月8日 第2小法廷)
• 争点: 保健体育の剣道の授業は、自身の信仰するエホバの証人の教義に反するため参加できない。このため原級留置となり、後に退学処分となった。この処分の取り消しを求める。
• 判決理由: 信仰上の理由による履修拒否は、正当な理由のない履修拒否と区別すべきである。他の体育実技の履修、レポートの提出等の代替措置を採ることは、憲法20条3項に違反しない。
• 判決文
  • 第一審判決 神戸地方裁判所 平成3年(行ウ)第13号
  • 控訴審判決 大阪高等裁判所 平成5年(行コ)第15号、平成5年(行コ)第16号
  • 上告審判決 最高裁判所 平成7年(行ツ)第74号

• 判決: 合憲 (1988(昭和63)年6月1日 最高裁)
• 争点: 殉職自衛官が自衛隊県連により地元の護国神社に合祀された。しかし当人は生前キリスト教徒だった。これは信教の自由の侵害と、政教分離の原則に違反し、違憲ではないか。
• 判決理由: 合祀の申請は、県隊友会の単独名義でされており、本件合祀申請に国の関与はない。また宗教的活動とは全ての宗教との関わりを指すのではなく、その効果が宗教に対する援助、助長、促進又は圧迫、干渉等になるような行為をいうので、本件はそれに該当しない。
• 判決文
  • 第一審判決 山口地裁 昭和48年(ワ)第8号 (違憲)
  • 控訴審判決 広島高裁 昭和55年(ネ)第46号、昭和54年(ネ)第84号、88号 (違憲)
  • 上告審判決 最高裁判所 昭和57年(オ)第902号 (合憲)

• 判決: 合憲 (1993(平成5)年2月16日 第3小法廷)
• 判決理由: 忠魂碑はじめ追悼施設等は、一般に単なる記念碑以上に宗教的存在を持つものであるが、特定の宗教施設とは言えない。また慰霊祭の開催も、特定の宗教の活動とは言えない。
• 判決文
  • 第一審判決(忠魂碑) 大阪地方 昭和51年(行ウ)第9号
  • 第一審判決(慰霊祭) 大阪地方 昭和52年(行ウ)第49号の1
  • 控訴審判決 大阪高裁 昭57(行コ)21号・22号・23号、昭58(行コ)13号・14号
  • 上告審判決 最高裁判所 昭和62年(行ツ)第148号

• 判決: 違憲 (1997(平成9)年4月2日 大法廷)
• 争点: 白石春樹愛媛県知事らが、靖国神社や護国神社の春秋の例大祭と慰霊大祭、みたま祭で玉串料や献灯料、供物料を支払ったのは違憲だ。謝罪と賠償を要求する。
• 判決理由: 本件支出は、宗教的意義を持ち、また神社の宗教活動の援助、助長、促進になるので、憲法20条3項の禁止する宗教的活動に当たり、違法なものと言わなければならない。
• 判決文
  • 第一審判決 松山地方裁判所 昭和57年(行ウ)第4号・58年(行ウ)第10号・60年(行ウ)第5号・61年(行ウ)第6号・62年(行ウ)第7号
  • 控訴審判決 高松高等 平成元年(行コ)第3、5号
  • 上告審判決 最高裁判所 平成4年(行ツ)第156号

• 大日本帝国憲法第28条 (信教の自由)

GHQ草案

　CHAPTER III. Rights and Duties of the People
　Article XIX.
　Freedom of religion is guaranteed to all. No religious organization shall receive special privileges from the State, nor exercise political authority.
　No person shall be compelled to take part in any religious acts, celebrations, rites or practices.
　The State and its organs shall refrain from religious education or any other religious activity.

　第三章 人民ノ権利及義務
　第十九条 宗教ノ自由ハ何人ニモ保障セラル如何ナル宗教団体モ国家ヨリ特別ノ特権ヲ受クルコト無カルヘク又政治上ノ権限ヲ行使スルコト無カルヘシ
　何人モ宗教的ノ行為、祝典、式典又ハ行事ニ参加スルコトヲ強制セラレサルヘシ
　国家及其ノ機関ハ宗教教育又ハ其ノ他如何ナル宗教的活動ヲモ為スヘカラス