天津罪
読み:あまつつみ

 神道において須佐之男命天照大神に対して犯した罪に由来する、大祓詞によって分類された犯罪のこと。
目次

概要
 天の罪のことである。「津」は現代語における接続詞「の」を意味する。
 天津罪と国津罪は神道における罪であるが、うち天津罪は農耕や祭祀を妨害する行為が該当する。
 天津罪は次の八つがある。
  1. 畔放(あはなち)
  2. 溝埋(みぞうめ)
  3. 樋放(ひはなち)
  4. 頻蒔(しきまき)
  5. 串刺(くしさし)
  6. 生剥(いきはぎ)
  7. 逆剥(さかはぎ)
  8. 屎戸(くそへ)
 うち、1〜5は農業妨害、6〜8は祭祀妨害にあたる。

特徴
 天津罪は、各々、次のような行為をいう。なお、解釈は様々あり、以下は解釈方法の一例である。
畔放(あはなち)
 他人の田の畔を崩し、自分の田へ水を引いたり、そうでなくとも他人の耕作の妨害をすること。
 昔の日本では、これは死罪にあたる重罪とされた。
溝埋(みぞうめ)
 灌漑用の溝を埋めてしまい、耕作を妨害すること。
樋放(ひはなち)
 田に水を引く樋を取り払い、耕作を妨害すること。
頻蒔(しきまき)
 一度種が撒かれた田に後から種を撒き自分の物と主張し、農作物を横領すること。
串刺(くしさし)
 他人の田に串を刺して自分の田と主張し、耕作田を横領すること。
生剥(いきはぎ)/逆剥(さかはぎ)
 生きたまま、または逆さに皮を剥ぐことで、つまり残虐な行為のこと。
屎戸(くそへ)
 神聖な場所に汚物を撒き散らすこと。
 記紀には、須佐之男命高天原の神殿で脱糞し、天照大神の新嘗祭を妨害したとある。

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