ホワイト国 (外為法)
読み:ほわいとこく

 外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づいて貿易管理令の別表第三で定められた、特例扱いの国の通称。
目次

概要
 「ホワイト国」は通称であり、特に法律上の定めのある用語ではない。
 経済産業省 安全保障貿易管理における仕向地の「い地域(1)」とほぼ同様となっており、運用上も同等と思われる。
 「り地域」が問題となって以降、「ホワイト国」という呼び方も問題視されるようになったことから、2019(令和元)年8月、経産省は「グループA」に名称を変更することを発表した。

地域
 2019(令和元)年6月現在、50音順で次の27ヶ国が特例として扱われている。†が付いた1国は、2019(令和元)年8月にホワイト国から削除となった。

特徴

利点
 ホワイト国は、補完的輸出規制(キャッチオール規制)の対象外となる利点がある。

法定義
 外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)
 (輸出の許可等)
 第四十八条 国際的な平和及び安全の維持を妨げることとなると認められるものとして政令で定める特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物の輸出をしようとする者は、政令で定めるところにより、経済産業大臣の許可を受けなければならない。
 法に基づく制令は貿易管理令である。
 貿易管理令(昭和二十四年政令第三百七十八号)
 (特例)
 第四条 法第四十八条第一項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。ただし、別表第一の一の項の中欄に掲げる貨物については、この限りでない。
 一 仮に陸揚げした貨物のうち、本邦以外の地域を仕向地とする船荷証券(航空貨物運送証その他船荷証券に準ずるものを含む。)により運送されたもの(第三号及び第四号において「外国向け仮陸揚げ貨物」という。)を輸出しようとするとき(別表第三に掲げる地域以外の地域を仕向地として輸出しようとする場合にあつては、次に掲げるいずれの場合にも該当しないときに限る。)。
 (以下略)
 別表第三は次のように定義されている。
 別表第三(第四条関係)
 アルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、大韓民国、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、アメリカ合衆国

い地域(1)との差分
 経済産業省 安全保障貿易管理における仕向地の「い地域(1)」とほぼ同様だが、大韓民国(南朝鮮南鮮)が追加されている。
 い地域(1)と同等だったはずのホワイト国(別表第三)に南朝鮮を追加したのは小泉純一郎政権時代である。
 小泉純一郎は2004(平成16)年に北朝鮮を再訪問したり、その前年に南朝鮮の盧武鉉(ロ・ブゲン)酋長が来日し天皇陛下に謁見したりしており、この頃に南朝鮮がホワイト国に追加されたとみられている。
 信憑性は不明ながら、アメリカは南鮮のホワイト国追加に最後まで反対していたらしい。

南鮮の除外

南鮮より戦略物資の密輸出が発覚
 半導体製造に使用すると偽って輸入したフッ化水素を密輸出し、サリンやVXの製造、およびウラン濃縮など兵器開発に転用された疑いが発覚したため、2019(令和元)年7月1日、南鮮はホワイト国から削除されることが発表された。削除までの間に密輸出されないよう、その間は「り地域」となり、同様にして輸出が規制されることになった。
 り地域としての規制3品目は次の通りである。
 純度は無視して、世界的なシェアを見ると次のようになっている。
 このうち、半導体用のエッチングガス(弗化水素)は高純度が求められ、これが製造でき市販もしている企業は世界で日本のみで、森田化学工業株式会社が独占生産している。従って、日本から窃盗した技術で、日本から入手した材料での半導体産業に経済が依存している南鮮にとっては、禁輸は大打撃となる。
 しかし、過去3年間分の使途の提出を南鮮は拒んでおり、信頼性がないと判断されたため、ホワイト国からの削除は決定的となった。

別表第3から大韓民国を削除するパブリックコメントの募集
 2019(令和元)年7月1日から24日まで、「輸出貿易管理令の一部を改正する政令案」に関するパブリックコメントの募集が実施された。
 政令案は次の通りであった。
 政令第 号
 
 輸出貿易管理令の一部を改正する政令
 内閣は、外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第四十八条第一項の規定に基づき、この政令を制定する。
 輸出貿易管理令(昭和二十四年政令第三百七十八号)の一部を次のように改正する。
 別表第三中「、大韓民国」を削る。
 
 附則
 この政令は、公布の日から起算して二十一日を経過した日から施行する。
 
 理由
 国際的な平和及び安全の維持のため、大韓民国を仕向地とする貨物の輸出について仮に陸揚げした貨物に係る輸出の許可の特例を廃止する等の必要があるからである。
 別表第3から南鮮を削除することでホワイト国から非ホワイト国とし、補完的輸出規制(キャッチオール規制)の対象とするものである。
 最初の1週間で6300件の意見が寄せられ、うち賛成が98%となる6200件あまり、反対は60件だったという。最終的に、異例の4万件超のコメントが届き、9割以上の賛成が得られた。

政令第七十一号
 2019(令和元)年8月7日、官報にて政令第七十一号として公布された。
 政令
 輸出貿易管理令の一部を改正する政令をここに公布する。
 御名御璽
 令和元年八月七日
 内閣総理大臣 安倍 晋三
 
 政令第七十一号
 輸出貿易管理令の一部を改正する政令
 内閣は、外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第四十八条第一項の規定に基づき、この政令を制定する。
 別表第三中「、大韓民国」を削る。
 輸出貿易管理令(昭和二十四年政令第三百七十八号)の一部を次のように改正する。
 附則
 この政令は、公布の日から起算して二十一日を経過した日から施行する。
 内閣総理大臣安倍晋三
 経済産業大臣世耕弘成
 原文通りで決定され、公布された。

経産省のもくろみは8月15日削除だったか
 安全保障上の問題であるので、パブリックコメントでの賛否とは無関係に、南鮮が削除されるのは決定事項であって覆ることはない。しかも、スケジュールもかなり狙っていた。残念ながら計画通りにはならなかったが、もし計画通りであれば、かなり興味深い展開になったと思われる。
 政令案では「施行は公布から21日経過した日」となっており、このパブリックコメントの締切は7月24日である。最速で翌25日に公布された場合、当日を含めず21日後は8月15日である。
 この日は日本では玉音放送のあった日であるが、南鮮では反日で盛り上がる光復節の日である。この日にホワイト国から削除されれば最高に効果的であるため、24日締め切り、25日公布、21日経過した日、というスケジュールが組まれたものと思われる。

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