仮想通貨
読み:かそうつうか
外語:virtual currency

 何かしらの開設者によって発行され、一定の範囲内で受け入れられ流通するディジタル通貨の一種。
目次

概要
 中央銀行など国家が関与せず、規制も及ばない。代わりに、裏付けが何もない。
 日本銀行券の場合は日本人の国富つまり国の信用が裏付けになるが、仮想通貨にはそういったものがない。
 交換所を介することで国家が発行する通常の通貨と交換することが可能で、投機のマネーゲームとしての価値はあるが、通貨とは呼べない。

特徴

トップブランド
 仮想通貨は次々と登場しており、その数は枚挙にいとまが無い。但し人気のある仮想通貨は数が限られる。
 2018(平成30)年2月での、仮想通貨の時価総額(通貨の値段×出回っている通貨の量)の上位5位は次の通りである。
  1. Bitcoin (BTC、ビットコイン)
  2. Ethereum (ETH、イーサリアム)
  3. Ripple (XRP、リップル)
  4. Bitcoin Cash (BCH、ビットコインキャッシュ)
  5. Cardano (ADA、カルダノ(エイダ))
 5位以下は様々な仮想通貨が覇権を争っていて変動が激しい。
 2位以下は随時変動するが、Bitcoinは長く1位をキープしている。Bitcoinの時価総額は断トツであるため、1位の地位はそう簡単には揺るがないと思われる。

主な仮想通貨
 上記時価総額上位を含め、ニュースに登場するなど何かしら日本でフィーチャーしている主な仮想通貨は次の通りである。

規制など
 日本では法規制は特にないが、そもそも法的に通貨として認められてもいない。仮想通貨に対し各省庁は、金融庁「通貨ではない」、財務省「同省の仕事ではない」、総務省「判断する立場にない」、日本銀行「ビットコインとその取引所を規制する立場にはない」などの見解を発表している。
 対し支那などではネズミ講であるとして禁止している。事実かどうかはともかくネズミ講と判断すること自体は普通にありうるとしても、最高刑が終身刑というのは明らかに普通ではない。

コンセプト
 仮想通貨は、全て通信プロトコルで処理されている。
 仮想通貨であるため用途は限られているが、しかし政府や銀行などの権力に依存せず、そもそも通貨としての管理者が存在しないため、通貨の発行から取引まで、一切が追跡されることはない。
 このため、資金洗浄(マネーロンダリング)に使われることもあるようである。

犯罪

主な犯罪
 仮想通貨を介して行なわれる犯罪行為には次のようなものがある。

北朝鮮
 北朝鮮は、経済制裁で外貨獲得の手段が減少しており、このため外貨獲得のために銀行をサイバー攻撃し幾度か成功していることが知られる。代表的なのは、バングラデシュの中央銀行から8100万ドル(約87億円)を盗み出した事件である。
 同様に仮想通貨の取引所も狙っており、南朝鮮の仮想通貨取引所が次々と狙われた。2017(平成29)年4月にYapizonが160億ウォン(約16億円)、2017(平成29)年6月にBithumbが約650万ドル(約7億円)、2017(平成29)年9月にCoinisが21億ウォン(約2億円)を盗まれ、また2017(平成29)年12月にはYapizonが改名したYoubitが約170億ウォン(約17億円)を奪われ破産する事件もあった。
 身代金を要求するマルウェアランサムウェア」も、支払いに仮想通貨を要求することが増えている。WannaCry(ワナクライ)などは、米英政府および大手セキュリティ企業等から「北朝鮮による犯行」と発表された。
 また、仮想通貨のマイニングでも北朝鮮の動きは知られている。膨大な電力を消費するマイニング作業は、電力が困窮する北朝鮮において個人が実施するとは考えにくく、政府主導であることを疑う余地はない。主としてBitcoinでマイニングをしているとされるが、他のの仮想通貨でもマイニングをしていると報じられている。どの程度のマイニングを北朝鮮が成功させているのかは不明である。
 このような流れの中で2018(平成30)年1月26日、日本の仮想通貨取引所「コインチェック」から仮想通貨NEM(ネム)を約580億円相当奪われ、被害者の数が26万人に上る事件が発生した。匿名性の高い闇サイト上で販売され、3月22日頃に流出した資金洗浄が完了したなる情報もあるが、完売後に当該の闇サイトは金正恩のコラージュ写真に「Thank you!!!」の文字が添えられた画面が掲示されたとされており、このため「北朝鮮による犯行はありえない」との見方も強まっているという。

補足

通貨ではない
 仮想通貨という名ではあるが、これが通貨かと言えば、実際には通貨とは言えない。
 通貨と呼ぶためには支払いの手段、流通手段として通用されていることが期待されるが、実際はそうではなく、単なる投機対象でしかない。
 2014(平成26)年2月に取引仲介会社「マウントゴックス」(Mt. Gox)が破綻した事件の際、金融庁の広報担当官は「ビットコインは通貨ではない。いわゆる通貨の代替物として機能する金をはじめとした物品のようなもの」としており、「金融庁は通貨を前提する金融に係る事務を所掌している。ビットコイン取引所は当庁の規制監督対象になっていない」としている。

仮想貴金属
 仮想通貨は少なくともこれを著している時点での日本では通貨ではなく、通貨の代替物として機能する存在である。
 喩えるならば、パラジウムプラチナなど貴金属のような、金銭価値を持った物品のようなものである。ただし、物理的にすら存在せず、国の保証もない存在であるため、仮想通貨自体には特別に保証された金銭的価値などはない。
 仮想通貨自体に価値があるかどうかは議論の対象であるが、さておき既存の通貨と一定の(変動)相場でリンクしていて各国の通貨と換金する業者が存在していることは事実であるので、有価証券か為替に類するものと認識することは可能である。
 ただし、2015(平成27)年8月5日東京地裁判決(倉地真寿美裁判長)では、「Bitcoinは所有権の対象に当たらず」とした。判決では、所有権は民法上、液体や気体など空間の一部を占める「有体物」と定義され、排他的に支配できるものを対象としているとし、仮想通貨であるBitcoinは有体物に当たらず、Bitcoinを利用者間でやりとりする際には第三者が関与する仕組みになっていることから排他的支配の実態もない、と認定している。
 以上から、仮想通貨は総じて通貨としてはコンセンサスが得られておらず、これは国際的にも同様であり、現時点においてISO 4217の通貨コードは与えられていない。

投機の対象
 仮想通貨の値動きの激しさなどを見れば分かるが、株と違って値幅制限もないため、異常に値上がりしたり、異常に値下がりしたりする。投機対象としては非常にリスクが高い。
 これは、儲かるときには超絶に儲かるが、損するときには超絶に損をすることになる。
 ただ、仮想通貨を最も多く保有するのは、恐らく最初に始めた(その仮想通貨を作った)人々、言うなれば胴元であろう。彼らは投資分は無視するとして元手は0で大量の仮想通貨を保有しているわけだから、値上がりした時に売れば大もうけ、値下がりしても損はないということである。後から始めた第三者が儲けることなど、そもそもできる土俵ではない。

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