村八分 |
辞書:文化用語の基礎知識 文化編 (LBUNKA) |
読み:むらはちぶ |
外語:social ostracism |
品詞:名詞 |
村人が悪いことをしたとき、村の十の交際のうちの八つは援助も交際もしなくすること。つまり絶交/仲間外れにすることをいう。
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概要 |
村の十の交際とは、冠・婚・葬・建築・火事・病気・水害・旅行・出産・年回忌である。
村八分になると、このうち葬式と火事を除いては付き合いをしてもらえなくなる。
特徴 |
目的 |
そもそも、昔の(今も殆ど変わらないが)日本の村社会というのは、村民同士の強力な共同体制が必要不可欠であった。
農業や日常生活で、常に助け合いが行なわれた。このような村人の社会主義的相互扶助と団結が、かつての厳しい封建体制に耐える唯一の道だったからである。
しかし万一この結束を守らない者がいては、秩序が乱れ、村民の団結も緩まり、延いては生活が危機にさらされる。そこで、村民に規律違反者がいた場合、他の村民の申し合わせで、その家とは付き合いをしなくするという、とても厳しい掟(おきて)や制裁措置が作られたのである。
条件 |
具体的には、窃盗や暴行、殺人、放火といった悪質な犯罪や村の規約違反などがあった時に制裁が行なわれていたようだ。
すなわち村民が全員で決定した事柄に対する違反者が村八分の対象で、村民の多数の意向に従わない者が出ることを抑制する機能があった。
重要な点 |
村八分の本質的に重要な点は「二分が残っている」点にある。
それは葬式と火事であり、普段は仲間外れだが、本当に困った時には助ける、ということである。
ちなみに英語ではsocial ostracismやostracismと訳されているが、ostracismは(国外)追放という意味である。しかし村八分と追放は似て非なるもので、誤訳とも言える。
追放(すなわち村十分)にするなら、何かあっても助ける義理は無いはずだからで、このような所に、かつての日本人の感性が垣間見える。
リンク |
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