少年法
読み:しょうねんほう

 少年の事件を裁くために作られた、刑事訴訟法の特則を定める日本の法律。
目次

情報

概要
 少年法第2条により、この法律における「少年」とは二十歳に満たない者と定義され、この「少年」が罪を犯した場合の裁き方などを規定している。
 この法律は、成人犯と違い少年犯は将来ある存在であり、その更生のためにあるとしている。第1条に、次のように規定される。
 (この法律の目的)
 第一条 この法律は、少年の健全な育成を期し、非行のある少年に対して性格の矯正及び環境の調整に関する保護処分を行うとともに、少年の刑事事件について特別の措置を講ずることを目的とする。
 成人するとは人に成るという意味であり、まだ成人していないとは、まだ人に成っていないということである。しかるに、まだ人にあらざる少年は、今後人に成るまでに更生をするため、この法律があるとしている。

特徴

少年A
 少年犯罪者は、実名や顔写真など個人情報が一切報道されない。なぜか「少年A(エー)」などとされるのが一般化している。名前などを秘すのは、過去の犯罪歴がバレてしまうと更生後の将来に差し障りがあり、もって「少年の健全な育成を妨げる」ためであるらしい。
 事件について、終局の決定が確定してから3年までは、被害者等による記録の閲覧及び謄写が可能である旨が第五条の二に規定されるが、この場合も、知り得た少年の氏名その他少年の身上に関する事項を漏らしてはならないと規定されている。
 またマスコミが一切報道しないことにも理由があり、少年法には、次のように記載がある。
 第四章 雑則
 (記事等の掲載の禁止)
 第六十一条 家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。

少年犯の自殺
 犯行後自殺した場合、当人はすでに死亡しており更生の可能性はないため、匿名にする理由がないとしてこれを報じるマスコミも少なくない。
 法律上、死者に少年法第六十一条が適用される理由がないことから、これは合法と考えられる。

少年犯の死刑判決
 犯行時少年であっても、その犯行が凶悪であれば、死刑もありうる。
 そのような場合の法律解釈は定かではないが、死刑が確定したなら二度と生きて娑婆に戻ることは無い以上、「更生」や「社会復帰の可能性」は無いことから匿名にする理由がないとして、実名の報道をするマスコミが多かった。
 例えば、1999(平成11)年4月14日に山口県光市で発生した凶悪犯罪「光市母子殺害事件」の場合、主犯は犯行当時18歳で、主婦(当時23歳)を殺害後に死姦、また娘の乳児(生後11ヶ月)を殺害した。事件当時未成年だったが死刑判決が言い渡され、2012(平成24)年2月20日、最高裁第一小法廷が上告を棄却したことで死刑が確定した。
 翌日2012(平成24)年2月21日の朝刊各紙は、元少年を実名で報じたところが多かったが、変態新聞社として知られる毎日新聞社のように匿名を続けた社もあった。西日本新聞は「再審や恩赦の可能性」がなくなるまで匿名とするとしている。再審は可能性ゼロではないが、恩赦はまずありえない。
 なお「光市母子殺害事件」の犯人は「大月孝行」だが、犯行当時は「福田孝行」だった。福田姓から大月姓に変わった理由は日本基督教団の信徒「大月純子」なる女性と養子縁組したためとされる。

実名報道
 死刑が確定したことで実名が報道されたことについては、国民の賛同が得られている。しかし一部にはこれを批判する人もいる。
 死刑が確定してもなお社会復帰の意可能性があるから実名報道はまかりならんという人は「推定無罪」の原則があるにもかかわらず逮捕されただけで実名が出ることについて、おかしいと思わないのだろうか。

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