QAM
読み:キューエイエム
外語:QAM: Quadrature Amplitude Modulation
直角位相振幅変調方式。振幅変調(AM)と位相変調(PM)を組み合わせたような
変調方式
で、振幅と位相の両方の要素を変化させることで複数の情報を一度に伝達できる変調方式。
アナログ変調としてもディジタル変調としても利用される。
目次
概要
理論
三角関数の合成公式
信号星座図
特徴
ディジタル変調
アナログ変調
概要
具体的な実現方法は、互いに位相がπ/2(90°)ずれた二つの
正弦波
(それぞれI、Qと呼ばれる)を個別に振幅変調して合成する。
すると、三角関数の合成公式により、合成された正弦波はI波、Q波の大きさに従って振幅と位相が変化する。
理論
三角関数の合成公式
ちなみに三角関数の合成公式とは、次のようなものである(恐らく高校で学ぶ)。
a×cos(x)+b×sin(x)=√(a×a+b×b)×sin(x+p)
sin(p)=a÷√(a×a+b×b)
cos(p)=b÷√(a×a+b×b)
ここでa×cos(x)がI、b×sin(x)がQに相当するので、式から振幅と位相が変化するのがわかる(cosとsinでは位相がπ/2(90°)ずれているため)。
信号星座図
また、各符号に割り当てられた振幅/位相を、2次元平面の極座標上の点として表わした図を信号星座図という。
特徴
ディジタル変調
ディジタル変調としては、例えば振幅/位相がそれぞれ異なる16種類の正弦波を用意し、ディジタル信号に応じてこれらの正弦波を送出すれば一度に16の状態、つまり4ビットの情報を伝送できる。これを16QAMという。
次のようなものが、高速モデムやデータ通信回線、無線通信などに採用されている。
2QAM ‐ 1ビット/シンボル
4QAM ‐ 2ビット/シンボル
8QAM ‐ 3ビット/シンボル
16QAM
‐ 4ビット/シンボル
32QAM
‐ 5ビット/シンボル
64QAM
‐ 6ビット/シンボル
128QAM
‐ 7ビット/シンボル
256QAM
‐ 8ビット/シンボル
512QAM
‐ 9ビット/シンボル
1024QAM
‐ 10ビット/シンボル
2048QAM ‐ 11ビット/シンボル
4096QAM ‐ 12ビット/シンボル
8192QAM ‐ 13ビット/シンボル
16384QAM ‐ 14ビット/シンボル
32768QAM ‐ 15ビット/シンボル
位相(PM)だけなら、2QAMは
BPSK
、4QAMは
QPSK
、8QAMは
8PSK
に各々対応すると言える。
なお、状態数が増えるとノイズの影響を受けやすくなるので、何らかの
誤り訂正
機構が必須となる。
アナログ変調
アナログ変調としての例では、
NTSC
ビデオ信号の
色度信号
伝送や
AMステレオ放送
の左右信号の
重畳
伝送などがある。
また放送の物理層において、例えばCATVなどでは、ケーブルモデムはQAMなどのディジタル変調方式を採用してRF区間(ダウンストリーム)において最大30〜42Mbps程度の通信速度を実現している。
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