ダイナミックHTML
読み:だいなみっく-えいちてぃーえむえる
外語:DHTML: Dynamic Hyper Text Markup Language
HTMLとCSSで記述されたWebサイトの内容をスクリプト言語を使って動的に変更し、結果として画面表示を動的に変化させるためのWeb機能の総称だったもの。明確な定義はないのでバズワードの一種とも言える。また、既に死語でもある。
概要
この技術は1997(平成9)年、Netscape CommunicatorとInternet Explorerの間で勃発した熾烈な争い「ブラウザー戦争」の中で誕生した。
ただこれは何らかの特定の技術を指すと言うよりは、このブラウザー戦争によって生み出された、いわゆる「宣伝文句」「流行り言葉」だった。
当時は画面の簡単な装飾をJavaScriptから実現することを想定されていた。しかしそれでも両ブラウザー間で互換性がないため、両方に対応させるのは非常に難しいのが実情だった。この状況を打破するため、W3Cが1998(平成10)年10月にDOMを勧告した。これ以降DOMに対応する新しいWebブラウザー(Internet Explorer 5.0、Netscape 6、Mozilla Firefoxなど)が登場し、Webブラウザーを問わず一つの記述でHTMLを操作できるようになりダイナミックHTMLの環境は整えられた。
特徴
誕生当初
ダイナミックHTMLの環境が整ったとはいえ、登場当初はクライアントサイドで画面を書き換えるようなWebアプリケーションという発想もまだ存在せず、そもそも何に使うのか分からないものだった。
ページの簡単な装飾が想定されていたようだが、結果さして必要性があるとは思えない無駄にアニメーションをするだけのページが量産されたため、ダイナミックHTMLが普及するどころか逆にJavaScriptの評判まで悪くなる一方だった。
そんな中でもWeb技術者は、JavaScriptの非同期通信機能を用いて随時サーバーから情報を得て画面を更新していく、今で言うAjaxの技術を確立し、ダイナミックHTML対応の環境であれば、HTMLとCSSとJavaScriptだけで実用的なWebアプリケーションが実現可能であることを見出しつつあった。
実用化
ダイナミックHTMLが実は極めて実用的なものだと証明したのが2005(平成17)年に登場したGoogle Mapsである。当時もWeb地図サイトは複数あったが自由なスクロールが可能なものなどない中で、この時にGoogleはAjaxを用いて非同期に情報を受信して自由にスクロール可能な地図を実現させた。
またGoogle検索でも、入力語をバックグラウンドで検索することでリアルタイムに検索結果を表示する(インクリメンタルサーチ)なども実現させた。
こうしてダイナミックHTMLは普及するが、全てをJavaScriptそのままで書くのは大変なので、より簡単にWebアプリケーションを書くための技術としてjQuery、React、Vue.jsといったフレームワーク・ライブラリーも普及している。
またこの頃に登場したActiveXやJavaアプレットといった技術も、画面を動的に書き換えるという意味では(HTMLは何の関係もないが)ダイナミックHTMLの一種だったとする人もいる。それが許されるならAdobe Flashなどもそうだったのかもしれない。
その後
JavaScript(ECMAScript)を用いてHTMLやCSSを動的に書き換えて画面を変化させるのが当たり前となって以降、「ダイナミックHTML」というような特別感のある呼称は廃れた。
元々特定の技術を指す言葉というよりは宣伝文句だったため、その目的を果たし、役目を終えたのだとも言える。従って今では死語となっている。
この語廃れし後、画面を動的に書き換えることを印象させる技術用語の代替はなかったため、AjaxやHTML5と言った直接的な技術用語に置き換わっていった。
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