workqueue
読み:ワークキュー
外語:workqueue
Linuxカーネルで使用されている遅延処理の方法の一つ。
概要
workqueueはtaskletの問題を改善するもので、専用のカーネルスレッドを作って実行する。また、指定した時間経過後に処理を呼び出すことが可能である。
予め用意されているシステム共有のカーネルスレッドとキューを用いても良いし、create_workqueue()関数で独自のカーネルスレッドとキューを作成し使用することもできる。
ワークキュー内でsleepした場合などは、その影響はそのワークキューが持つ全てのワークに及ぶ。
特徴
オブジェクト
workqueueでは、遅延処理をオブジェクト(work_struct)として管理する。
必要な遅延処理ごとにwork_structを用意し、これをキューに格納して順次実行することになる。
カーネルスレッド
workqueueはカーネルスレッドを作って処理するため、他のカーネルスレッドへの影響がない。
独自に作る方法と、システム共有のものを使う方法とがある。
なお、このカーネルスレッドは、キューに遅延処理がプッシュされてくるまではスリープしている。
独自のworkqueueを使う
次のような関数が用意されている。
- create_workqueue() … 独自のworkqueueを作成する(CPU数ぶんのスレッド)
- create_singlethread_workqueue() … 独自のworkqueueを作成する(一つだけ)
- queue_work() … キューにオブジェクト(work_struct)をプッシュ
- destroy_workqueue() … workqueueを削除
システム共有のworkqueueを使う
- schedule_work() … キューにオブジェクト(work_struct)をプッシュ
遅延付き
すぐに実行するのではなく、暫く経ってから実行することも可能。これら関数にはdelayedと付けられている。
よう使うもの。
- schedule_delayed_work() … キューにオブジェクト(work_struct)をプッシュ
- cancel_delayed_work_sync() … オブジェクト(work_struct)を取り消す
使用方法
ここでは簡潔に済ませるために、システム共有のworkqueueを使う。
schedule_work
定義
DECLARE_WORKは、struct work_structを作り、初期値を代入するマクロ。
static void test_workqueue_cb(struct work_struct *);
static DECLARE_WORK(test_workqueue, test_workqueue_cb);
定義より前に関数があれば良いが、通常はないので、ここではプロトタイプ宣言の例も併せて紹介する。
呼び出し
schedule_work(&test_workqueue);
コールバック関数
static void test_workqueue_cb(struct work_struct *work)
{
/* hogehoge */
}
schedule_delayed_work
delayed付きも同様だが、時間指定が可能である。
#define DELAY_TIME 2000 /* ms */
schedule_delayed_work(&work, msecs_to_jiffies(DELAY_TIME));
単位がjiffiesなので、ここではミリ秒をjiffiesに変換するinline関数を用いている。
取り消し方法は次の通り。
cancel_delayed_work_sync(&work);
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