OpenOffice.org
読み:オープンオフィス-ドット-オルグ
外語:OOo: OpenOffice.org
フリーソフトウェア
として配布されていた、オフィス系アプリ群(
オフィススイート
)の一つ。略して「OOo」。現在は「
Apache OpenOffice
」へと移行している。
目次
情報
概要
由来
今後
特徴
機能
主な特徴
種類
沿革
OpenOffice.org 1
OpenOffice.org 2
OpenOffice.org 3
採用例
日本の行政
日本の自治体
日本の大企業
情報
現時点での最新版は以下の通りである。
製品名 ‐ OpenOffice.org
使用途 ‐
オフィススイート
初出年 ‐ ?
設計者 ‐ ?
開発者 ‐ OpenOffice.org (
Oracle
)
最新版 ‐ OpenOffice.org 3.3.0 (2011(平成23)年1月26日)
最新評価版 ‐ (
TBD
)
影響関係
被影響 ‐
Microsoft Office
、StarOffice
加影響 ‐
Apache OpenOffice
、
LibreOffice
、Microsoft Office
動作環境
Microsoft Windows
(要
JRE
)
Linux
(要JRE)
OS X
(Intel/PowerPC) (要JRE)
Solaris
(x86/Sparc) (要JRE)
ライセンス
‐
LGPL
v3
概要
由来
元々は
Sun Microsystems
社の有料オフィスソフト「StarOffice」の機能限定・非サポート版で、これが
オープンソース
で開発されたもの。なお、同ソフトの
日本語
版の製品は「StarSuite」であるが、これは日本では「StarOffice」がNECの
商標
だったためである。
文書の形式には
OpenDocument Format
(ODF、ISO/IEC 26300)が採用されている。
今後
Sun MicrosystemsがOracleに買収されて以降、OpenOffice.orgの開発は大きく滞ることになった。
基本的に開発コミュニティが自由に活動する権利はない。何をするにしてもOracle様の許可が必要で、しかもその意思決定までのプロセスは不透明という、OpenOffice.orgの名にふさわしい、大変オープンなものへと変貌した。
一例として、OpenOffice.orgはStarOfficeがベースということもあり、
STL
はもちろん
C++
の標準化前のコードも多いことから古く汚いコードが散乱している。この整理も提案されたが、Oracleはこれを却下している。
この様な状況でやる気や実力のあるハッカーが集まるわけもなく、結果としてOpenOffice.orgの主要開発メンバーは
LibreOffice
へと移った。
ソースコード
の整理整頓はバグを減らす重要な作業だが、これはLibreOfficeで実現することになったのである。
結果Oracleは2011(平成23)年4月15日、OpenOffice.orgを非営利コミュニティーに完全に移管し、製品版の提供の打ち切りを宣言した。
Oracleはその後、
Apache Software Foundation
にソースコードを提供し、以降は
Apache OpenOffice
プロジェクトとして開発が継続されることとなった。
特徴
機能
バージョン2、3にある主な機能は次の通り。
Writer ‐ ワードプロセッサー (Microsoft OfficeならMicrosoft Word相当)
Calc ‐ 表計算ソフトウェア (Microsoft OfficeならMicrosoft Excel相当)
Impress ‐ プレゼンテーションソフトウェア (Microsoft OfficeならMicrosoft PowerPoint相当)
Draw ‐ ドローソフトウェア (図形描画、Microsoft Officeに相当品はない)
Base ‐ データベース (Microsoft OfficeならMicrosoft Access相当)
Math ‐ マス エディター (数式、Microsoft Officeに相当品はない)
主な特徴
現時点では、まだ完成度が充分とは言えないが、次のような特徴を持っていたため、大きな話題となった。
Microsoft Office
に充分対抗できる機能をフリーで提供する
Microsoft Windows
の他に
Linux
、
Solaris
版などもある
英語
・
日本語
を含む多数の言語版が提供される
Microsoft Officeのファイルもある程度まで読み書き可能な互換性を有している
作成した文書をPDFやHTMLに変換できる
バージョン1.0.xでは、Calc、Draw、Global、HTML Editor、Impress、Math、Writerがある。
種類
種類は、「動作環境」と「言語」で分けられる。翻訳だけでなく、文字の左右(LTR/RTL)の処理の都合などもあり全言語で常に同じ最新版が提供されているとは限らない。
現在の動作環境、あるいはパッケージの種類は、次の通り。
Microsoft Windows
Linux x86 RPM
Linux x86 DEB
Linux x86-64 RPM
Linux x86-64 DEB
Mac OS X Intel
Mac OS X PowerPC
Solaris x86
Solaris SPARC
以前はLinux IA64 RPM版もあったが、消滅した。
現在提供されている言語は、次の通り(ABC順)。
Arabic(〓〓〓〓、アラビア語)
Basque (Euskara、バスク語)
Bengali (〓〓〓〓〓、ベンガル語)
Catalan (Catala`、カタルーニャ語(カタロニア語))
Catalan (Valencian) (Catal〓 (valenci〓)、カタルーニャ語(バレンシア語))
Chinese (simplified) (〓体中文、大陸支那語)
Chinese (traditional) (正體中文、台湾支那語)
Czech (〓e〓tina、チェコ語)
Danish (Dansk、デンマーク語)
Dutch (Nederlands、オランダ語)
English (British) (イギリス英語)
English (US) (アメリカ英語)
Estonian (Eesti keel、エストニア語)
Finnish (Suomi、フィン語)
French (Fran〓ais、フランス語)
Galician (Galego、ガリシア語)
German (Deutsch、ドイツ語)
Greek (Ελληνικ〓、現代ギリシャ語)
Hebrew (〓〓〓〓〓、ヘブライ語)
Hungarian (Magyar、ハンガリー語)
Irish (Gaeilge、スコットランド・ゲール語)
Italian (Italiano、イタリア語)
Japanese (
日本語
)
Khmer (〓〓〓〓〓、クメール語(カンボジア語))
Korean (<HAN><KUK><EO>、朝鮮語)
Kurdish (kurd〓、クルド語)
Lithuanian (Lietuvi〓 kalba、リトアニア語)
Macedonian (македонски、マケドニア語)
Mongolian (монгол、モンゴル語)
Norwegian Bokmal (Bokm〓l、ノルウェー語(ブークモール))
Norwegian Nynorsk (Nynorsk、ノルウェー語(ニュー ノルスク))
Oromo (Afaan Oromo、オロモ語)
Polish (Polski、ポーランド語)
Portuguese (Portugu〓s、ポルトガル語)
Portuguese (Portugu〓s (Brasil)、ポルトガル語(ブラジル))
Russian (Русский、
ロシア語
)
Serbian (српски、セルビア語)
Serbian (Srpski latinicom、セルビア語 ラテン文字)
Slovenian (Sloven〓〓ina、スロヴェニア語)
Spanish (Espa〓ol、スペイン語)
Swedish (Svenska、スウェーデン語)
Turkish (T〓rk〓e、
トルコ語
)
Vietnamese (Ti〓ng vi〓t、ベトナム語)
沿革
公開日は、enは英語版、無記は日本語版で、アメリカまたは日本での現地時間。その他の言語については省略した。
また、[]で囲んでいる名称はコードネーム。
OpenOffice.org 1
1.0 ‐ 初の正式版 (2002(平成14)年5月(en))
1.1 ‐ PDF出力機能などに対応 (2003(平成15)年10月)
1.1.1[Prague] ‐ 509個のバグ修正と新機能 (2004(平成16)年5月21日)
1.1.2[Hakone] ‐ dBASE形式対応 (2004(平成16)年6月21日)
1.1.3[Berlin] ‐ 112個のバグ修正 (2004(平成16)年10月27日)
1.1.4 ‐ 81個のバグ修正 (2005(平成17)年1月17日)
1.1.5 ‐ 73個のバグ修正、OASIS OpenDocument対応 (2005(平成17)年1月17日)
OpenOffice.org 2
2.0β2 ‐ ライセンスの
LGPL
化 (2005(平成17)年8月29日)
2.0 ‐
OpenDocument Format
対応 (2005(平成17)年10月27日)
2.0.1 ‐ 差込印刷、箇条書き記号、Microsoft Officeとの互換性改良 (2006(平成18)年1月8日)
2.0.2 ‐ スペルチェック機能強化 (2006(平成18)年3月8日(en))
2.0.3 ‐ Calcが23%高速化 (2006(平成18)年6月29日(en))
2.0.4 ‐ PDF暗号化対応、拡張パッケージ追加機能 (2006(平成18)年11月2日)
2.1.0 ‐ Impressがマルチディスプレイ対応、BaseがMS-Accessサポート強化 (2007(平成19)年1月5日)
2.2.0 ‐ CalcでExcelファイルのサポート改善
2.2.1 ‐ 脆弱性の修正 (2007(平成19)年7月12日)
2.3.0 ‐ Writerで作表強化、Calcで日本語対応強化 (2007(平成19)年9月17日(en))
2.3.1 ‐ データベースエンジン「HSQLDB」の脆弱性修正 (2007(平成19)年12月4日(en))
2.4.0 ‐ HTTPS経由のWebDAV対応、PDF処理の強化 (2008(平成20)年3月27日(en))
2.4.1 ‐ 脆弱性修正、バグ修正 (2008(平成20)年6月9日(en))
OpenOffice.org 3
3.0.0 ‐ ODF 1.2対応、Office 2007形式(
.docx
/
.xlsx
/
.pptx
等)対応 (2008(平成20)年10月13日)
3.0.1 ‐ 不具合修正、登録単語数を3万に増加、綴り/文法自動チェック機能
3.1.0 ‐ 図形アンチエイリアス処理対応、共有機能改良 (2009(平成21)年5月7日)
3.1.1 ‐ 脆弱性修正 (2009(平成21)年8月31日)
3.2.0 ‐ 不具合修正、起動時間短縮 (2010(平成22)年2月11日)
3.2.1 ‐ 不具合修正、ロゴをSunからOracleに変更 (2010(平成22)年6月4日)
3.3.0 ‐ LibreOffice 3.3.0の翌日に公開されたもの (2011(平成23)年1月26日)
採用例
日本の行政
日本では2007(平成19)年、総務省より「情報システムに係る政府調達の基本指針」が公表され、調達仕様書は「原則として、独自の機能、独自のデータフォーマット及び独自の方式を使用せず、国際規格・日本工業規格等のオープンな標準に基づく要求要件の記載を優先する。」とした。
この指針で「オープンな標準」とは、次の全てを満たしている技術標準、とされている。
開かれた参画プロセスの下で合意され、具体的仕様が実装可能なレベルで公開されていること
誰もが採用可能であること
技術標準が実現された製品が市場に複数あること
かくしてOOoにも注目が集まり始め、省庁や自治体で続々と採用されるようになった。
日本の自治体
次の自治体がOOoを採用していることが知られている(地方自治体コード順)。理論上は相当額の経費削減になるようである。
01209-2
北海道
夕張市
01228-9 北海道深川市
01233-5 北海道伊達市
07202-8 福島県会津若松市
09341-6 栃木県芳賀郡二宮町
28205-7 兵庫県洲本市
39412-2 高知県高岡郡四万十町 (旧・幡多郡大正町)
47208-5 沖縄県浦添市
栃木県二宮町は全事務職員がLinuxデスクトップを使用し、OOoを利用していることが知られていたが、栃木県二宮町は真岡市に吸収合併されてしまった。
北海道夕張市は財政難に苦しんでいたが、選挙管理委員会のデスクトップ環境をUbuntu+OpenOffice.orgに移行すると発表されている。
但しその後、OOoは壊滅状態となり
LibreOffice
へと移行することになったので、これら自治体も、今後はLibreOfficeへ移行するものと推定される。
日本の大企業
コスト削減のため、零細企業などでも広く使われていると見られ、大手企業でも採用され始めている。
報道された範囲では、次の企業が広く採用をしている。
住友電気工業株式会社(住友電工)
アシスト (その後
LibreOffice
に移行)
三洋機工
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