マイクロドライ
読み:マイクロドライ
外語:Micro Dry

 アルプス電気プリンターで使用される熱転写方式の一種。融解型熱転写方式とも呼ばれる。なお「Micro Dry」「マイクロドライ」はアルプス電気の商標である。
目次

概要
 顔料系の水分を含まないドライインクを厚さ2.5μmの薄膜フィルムに4層構造でコーティングし、これを熱による融解で紙に浸透させることなく表面に安定定着させる技術。
 他方式と比べての特徴として、にじみが一切発生せず、裏写りも無く、印刷用紙を選ばない。水分を含まない顔料系インクのため水に濡れても滲まず耐水性が高い。
 また、顔料系インクは紫外線にも強く、長期間保存しても色あせしない対候性を持つ、などがある。

特徴

特色印刷
 アルプス電気製プリンターでは、CMYK順次印刷方式(1色ずつ重ね印刷を行なう)を採用したことで特色印刷(メタリック印刷、白色印刷)を実現。
 また普通紙印刷ではインクジェット方式などに比べ通常でも圧倒的に高い画質を誇るが、さらにMF(メディアフレキシブル)インクを利用することで紙面上の凹凸に対して表面処理を行ない、専用紙並の印刷を実現する技術などが搭載されている。

人気
 またメタリック印刷が可能だったこと、色の再現性が高かったこと、対水・対候性が高く作品の長期保存が可能なことから、印刷品質にこだわる人に人気があった。
 また、印刷用紙を選ばず、特殊な用紙や、その気になれば紙以外のものにも印刷可能だった。アイロンプリントをはじめ、転写シートを利用したマグカップなどへの印刷やプラモデルのデカール印刷などが可能だったことから、プロデザイナーやプロモデラー、日曜ホームクラフトを趣味とする主婦層などに人気が高かった。
 この理由により、その多くはインクジェット方式との比較ではなく、同方式の指名買いであったとされる。

欠点
 欠点として、CMYK順次印刷方式を採用したことから印刷速度が極端に遅いという問題があり、年々高性能化するインクジェットに対して最大の弱点となった。
 また、原理上からインクリボン方式を採用するため印刷コストが割高になるという難点もある。
 このためシェアをインクジェットに完全に奪われ、それが原因で特殊用紙などのサードパーティーによるサプライ品の充実でも完敗し、ますます占有率が落ち込むという悪循環を繰り返す。
 最終的に2000(平成12)年末の時点で店頭販売が中止され、公式サイト上での通信販売のみとなってしまった。
 それでも、USB接続に対応し、Windows XP用のデバイスドライバーも用意されたMD-5500という機種が、なお現役で存在する。

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