AGP
読み:エイジーピー
外語:AGP: Accelarated Graphics Port
グラフィック専用のバス規格の一つ。
概要
PCIをベースに開発され、Intelから1996(平成8)年7月に発表された。
改良を重ね、長くに渡り使われた規格だったが、2005(平成17)年からグラフィックカードのインターフェイスは急激にPCI Expressへ移行をした。
かくして、今ではAGPはレガシーの一つとなっている。
特徴
AGPの特徴は、メインメモリーに直接アクセスすることが出来る機能、GART(Graphics Address Remapping Table)に対応することである。
これはメインメモリーの一部をAGPメモリーとして確保し、グラフィックスチップが直接そのメモリーをアクセス可能とする機能である。これにより3Dグラフィックカードなどでもカード上に大量のメモリーを積まずに済むようになり、カードの価格を安価に押さえることが可能となった。
AGPはPCIなどと違い、あくまでもIntelが規格の策定権を握るIntelの独自規格であるが、その仕様は広く公開されている。
分類
種類
AGPは仕様が3種類(AGP 1.0、AGP 2.0、AGP 3.0)あり、次の要素が仕様差としてある。
電圧の差
AGPは当初から低電圧で動作している。
AGP 1.0では、カードは3.3Vで動作した。
AGP 2.0ではカードは3.3V用と1.5V用があり、AGP 3.0からは0.8Vが追加された。
速度
クロック
バス幅は32ビットでPCIと同じだが、クロックを最大8倍まで上げることで、高速転送を実現した。
バスクロック133MHz(2×)の場合でデータ転送速度は533Mバイト/秒となる。これは、PCIの132Mバイト/秒の約4倍に相当する。
非対称
AGPは上りと下りの帯域幅は非対称である。AGPは、CPU→GPUの速度を重視しており高速であるが、GPU→CPUは重視されておらず、低速である。
つまり、ここで示される速度は下り(CPU→ノースブリッジ→GPU)の帯域幅でありAGP 8×で最大2Gバイト/秒となるが、上り(GPU→ノースブリッジ→CPU)では266Mバイト/秒程度である。
仕様のまとめ
バージョン
AGPのバージョンごとに、次のように分類できる
バージョン | 信号電圧 | 対応倍率 |
AGP 1.0 | 3.3V | 1×、2× |
AGP 2.0 | 1.5V | 1×、2×、4× |
AGP 3.0 | 0.8V | 4×、8× |
切り欠き
スロットは最大二種類のキー(塞がったところ)があり、これと形状の合うカードしか刺さらない。
キーの使い分けは、対応する電圧による。
==#=========== 3.3V専用
===========#== 1.5V(AGP 2.0)または0.8V(AGP 3.0)専用
============== 3.3V/1.5V対応(AGP 2.0)・3.3V/1.5V/0.8V(AGP 3.0)
カードエッジ
キーに対応するように、カード側エッジには切り欠きが付けられる。
古い、AGP 1.0対応カード(3.3V)の場合は切り欠きが一つである。
対して、AGP 1.0/2.0両対応カード(3.3V/1.5V供用)からは、切り欠きが最大二つとなった。
AGP 3.0では更に電圧が下げられ0.8Vとなったが、キーは二つまでしか想定されていなかったので、スロットは1.5V動作のAGP 2.0と同じとした。電圧問題は、カードとAGPチップセットで対処されているため、現実に「0.8V専用で1.5Vで使えない」というカードは実在しないものと思われる。
4×と8×
古いAGP 4×マザーボードで、AGP 8×のカードが動作するかという点は、よく疑問としてあげられた。
結論としては、動作する。
AGP 8×はAGP 3.0で規定される。AGP 3.0では動作電圧も下がっておりAGP 2.0の1.5Vに対してAGP 3.0は0.8Vである。但しスロットの形状は全く同じである。
従ってAGP 3.0対応のカード(0.8V)は、AGP 2.0のスロット(1.5V)に挿しても動作することが求められており、結果として、理論上はAGP 4×マザーボードにAGP 8×のカードを挿した場合はAGP 4×相当の速度で動作する。
再検索