UT
読み:ユーティー
外語:UT: Universal Time
天体位置の観測に基づき計算された、天文学的な時刻。かつてのGMT(グリニッジ標準時)の現代的定義として1928(昭和3)年に登場したもので、世界各地における観測値を元に決定される。
現在標準時として用いられているUTC(協定世界標準時)と厳密には一致しないが、それを補正する基準として用いられている。
特徴
定義
ロンドンの旧グリニッジ天文台を通る子午線上で、平均太陽(平均的な動きの太陽)が南中する瞬間を12時として定義される。
ただし、平均太陽は「年間を通した平均的な動き」という仮想の存在であるため、直接観測することは不可能である。そこで実際には、恒星位置の観測結果を元にUTを計算しており、最近ではクエーサーも観測対象として用いられる。
本来、旧グリニッジ天文台における観測結果を基にした時刻がGMT、世界各地の観測値を元に決定された時刻がUTということになる。しかしUT(あるいはUTC)が登場して以降も、それらをGMTと表現しているケースが少なくない。
背景
天体の動きを基準に決定している時刻であるため、地球の自転速度変化によって時間の進み方が変わる。この仕組みは、「正午が12時」など時間と昼夜の関係を将来的に維持でき、生活時間としては有用である。
しかし科学においては、「1秒の長さが一定しない」というのは非常に都合が悪い。そこで、1秒の長さは原子時計で厳密に決め、それに整数秒の補正を加減することでUTとの誤差を修正していく、という仕組みのUTCが作られ、標準時として使われるようになった。
区分
厳密には、UTには複数の計算法がある。
最も単純なものが、世界各地の観測結果を経度の差によって本初子午線における換算し平均して求めた時刻で、これはUT0と呼ばれる。UT1は、UT0に加えて地球自転軸の変動を考慮し、計算に導入したものである。さらに、地球自転の季節変化を考慮したものはUT2と呼ばれ、他にもいくつかの手法が提案されている。
現在、単にUTと呼んだ場合は、UT1を指すことが多い。UT2が標準とされた時期もあったが、1975(昭和50)年にUTCの基準としてUT1が選ばれて以降は、単にUTといえばUT1を指すことが一般的になっている。
再検索