Graphics Synthesizer
読み:グラフィック-シンセサイザー
外語:GS: Graphics Synthesizer

 PlayStation2で採用された、東芝SCEIの開発したグラフィックプロセッサー(GPU)。
 Graphics SynthesizerはSCEIの登録商標である。
目次

仕様
 250nm(0.25μm)プロセスルールで製造され、集積トランジスタ数は4,300万。ダイサイズが279平方mm。パッケージは384ピンBGAである。
 CPUであるEmotion Engineは比較的多くの情報が提供されているが、Graphics Synthesizerに関しては情報が少なく、あまり多くは知られていない。

内部
 動作クロック周波数はCPUの半分の147.456MHz(約150MHz)である。
 そしてプロセッサー内に4MiバイトのDRAMが内蔵されている。90nm CMOSプロセスを用いたDRAM混載プロセスASC9が採用されており、ASC9は世界初の実用化された90nm DRAM混載プロセスである。

バス速度
 内蔵DRAMのバス幅は合計2,560ビットある。
 リード用とライト用が各1,024ビットあり帯域幅は各19.2Gバイト/秒、更にレンダリングエンジンへテクスチャを転送する専用バスが512ビットあり帯域幅は9.6Gバイト/秒で、合計した最大帯域幅は48Gバイト/秒である。

表示性能
 最大表示色数は32ビット(RGBA各8ビット)、Zバッファー32ビットで、出力可能な画像フォーマットはNTSC/PAL、DTV、VESA(最大1280×1024ドット)である。
 最大描画性能は7,500荳ポリゴン/秒(8681万ポリゴン/cBeat)であるが、この性能はセガのドリームキャストの最大300荳ポリゴン/秒(347万ポリゴン/cBeat)の25倍にも達する。
 処理の重い、Zバッファー付/テクスチャ付/光源あり/半透明のポリゴン描画でも最大2,000万ポリゴン/秒の描画が可能である。

メモリーとバスの問題
 しかし4Miバイトではメモリー容量が当然不足するので、足りない分は32Miバイト搭載されているメインメモリーを用いることになる。
 CPUのEmotion Engineとのバス帯域幅は1.2Gバイト/秒である。ただ、ドリームキャストや最近のパソコン用ビデオチップではテクスチャデータを圧縮してバッファーに格納し、必要に応じて展開して使用する機能が搭載されているが、Graphics Synthesizerにはそのような機能がないので、いずれにせよメモリー不足問題が発生することになる。
 PlayStation2でのゲーム開発の課題はこのメモリー問題が主であり、少ないテクスチャバッファーをどのように効率的に使い、いかに工夫してクオリティを高めるか、となっている。

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