進相コンデンサー
読み:しんそうコンデンサー
外語:power capacitor
負荷に対して位相が1/2π(90°)進んだ電流を流し、力率を改善するコンデンサー。
概要
用途により大きく、高圧進相コンデンサーと低圧進相コンデンサーに分けられる。
水銀灯など、力率の悪い機器等で使われている。
特徴
高圧進相コンデンサーは需要家の高圧受電設備に接地され、変圧器など負荷と並列に接続して使用する。また、電源に進相コンデンサーを投入すると定格電流に対して数十倍もの大きな突入電流が流れるため、基本的には直列リアクトルを併用し、突入電流を進相コンデンサーの定格電流の約5倍程度にまで抑制する。
低圧進相コンデンサーを、スターデルタ始動法の誘導電動機の力率を改善するため接続する場合、UVW側に繋ぐ。XYZ側に繋ぐのは誤りであり、異常電圧が発生しコンデンサーは破損する。
進相コンデンサーには放電抵抗器が付けられ、開放後に電圧が落ちるようになっている(製品もある)。残留電圧が充分に放電していない状態で再突入すると大きな過電流が流れコンデンサーを損傷する原因となることがある。短時間に開閉する必要がある場合、放電コイルなどを併用すると数秒で放電できるが、この場合も再投入は放電が終わるまで待つ必要がある。
規格
低圧
低圧進相コンデンサーのJIS規格はJIS C 4901である。
- JIS C 4901:2013 「低圧進相コンデンサ(屋内用)」
高圧
高圧進相コンデンサーのJIS規格は古くはJIS C 4801、4802、4901と3つに分かれていた。
1998(平成10)年3月20日付けで改正されてJIS C 4901に統合され、JIS C 4801/4802は付属書扱いとなった。
- JIS C 4902:1998 規格本体「高圧及び特別高圧進相用コンデンサ」
- JIS C 4902:1998 附属書1「高圧及び特別高圧進相コンデンサ用直列リアクトル」 (旧JIS C 4801:1990)
- JIS C 4902:1998 附属書2「高圧及び特別高圧進相コンデンサ用放電コイル」 (旧JIS C 4802:1990)
更にJISは改正されている。3部構成なのは同じだが、2010(平成22)年の改正では枝番付きの規格番号として、次のようになっている。
- JIS C 4902-1:2010 「高圧及び特別高圧進相コンデンサ並びに附属機器―第1部:コンデンサ」
- JIS C 4902-2:2010 「高圧及び特別高圧進相コンデンサ並びに附属機器―第2部:直列リアクトル」
- JIS C 4902-3:2010 「高圧及び特別高圧進相コンデンサ並びに附属機器―第3部:放電コイル」
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