逆行 (天体)
読み:ぎゃっこう
外語:retrograde motion

 天体が、通常とは逆方向に自転公転をすること。対義語は順行
目次

概要
 様々な天体の動きを逆行と呼ぶため、逆行には複数の意味が存在する。
 それぞれ全く異なる運動を表わしている。

特徴

自転の逆行
 公転に対して逆方向に自転する運動である。
 地球含め、殆どの天体の自転は順行しているが、太陽系の惑星では8惑星のうち金星天王星の自転が、また準惑星では冥王星の自転が逆行しており、これらを逆行惑星という。

公転の逆行
 太陽系では、殆どの天体は同じ方向で公転している。太陽系の惑星の全てと、殆どの小惑星は西から東へ公転している。これは太陽系を太陽の北極から見たとき、反時計回りに回っているように見えることを意味する。
 離心率が大きく特殊な公転をする天体もあり、冥王星などが該当するが、太陽に対する公転は殆どの場合順行している。ごく稀に、逆行小惑星や、逆行する彗星などがある。2007(平成19)年現在で、発見された小惑星は30万個を超えたが、その中でも逆行小惑星は十数個しか知られていない。
 これは、太陽系誕生当時、原始太陽を取り巻く物質の円盤から天体が産まれたことに由来する。対して逆行する天体は、外から飛び込んできた天体である。彗星は、惑星圏(狭義の太陽系)の外から到来し、太陽を巡っている天体である。
 そのほか、衛星の公転が母天体の自転に対して逆行している例がある。木星型惑星の衛星は離心率が大きなものが多く、これらは元々小惑星だったものが母天体の重力によって捕獲されたものと見られている。

惑星の視運動の逆行
 太陽系の惑星は8惑星全てが同じ方向に公転している。しかし地球から惑星を見たときに、惑星の視運動(天球上でのみかけの位置)として逆方向に移動して見えることがあり、これを逆行という。
 これは惑星の公転軌道によって公転に要する時間が違うためで、地球は内惑星に追い抜かれ、外惑星を追い抜く。順行と逆行が切り替わる頃は一時的に止まり、これを留という。つまり、順行→留→逆行→留→順行、の順となる。
 なお逆行は、内惑星なら内合の頃、外惑星ならの頃に発生する。

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