産科
読み:さんか
外語:obstetrics

 診療科の一つで、出産に関する範囲を専門に扱う診療科。
目次

扱う内容
 お産は病気ではないが、母子共に命に関わる問題でもあるため、専門に診療科が設定されている。
 病院で出産する、と言った場合には、この産科の病棟にて行なうことになる。母乳による育児の援助なども扱う。
 また男性不妊が疑われる場合など、不妊治療の一部は泌尿器科と協力して検査をすることもある。

産科の現状
 現在、産科を閉鎖する病院が増えている。結果、地方や島嶼の場合、地元で出産することは現在殆どできなくなっている。

日本の周産期死亡率
 出産にはリスクが伴う。日本の周産期死亡率は世界最低であるが、それでも一定数の不可避な死亡事例は発生する。
 かつて日本でも、母子ともに死亡率は高かった。
 我が国では医師の不断の努力によって医療は高度に発展し、出産のリスクも下がり、世界最低の周産期死亡率を実現させた。現在、我が国の出産の成功率はほぼ100%であり、これは世界最高である。つまり、世界で最も安心して出産できるのが日本ということである。

日本の産科医療
 しかし、激務と訴訟リスクの高さから、産科医は減り続けている。
 医療技術を高めれば国民に喜ばれるかと思ったところ、「死亡率がこんなに低いのに失敗した!」と訴訟を起こされるようになったからである。
 いわゆる「モンスターペイシェント」(モンスター患者)が登場したのである。

世界一の結果
 日本国民は、安い保健医療より、高いサプリメントを信頼するようになってしまった。世間では、胎教、助産院万歳、水中分娩、会陰切開反対、などの声がまかり通るのが現状なのである。
 日本人は世界最高水準の医療が受けられる事を当然の権利としか思わくなってしまった。権利意識が肥大化しすぎた結果、その自覚すら無くなってしまったのである。また、マスコミ(特にテレビ)の言うことを真に受ける人が増えてしまったのも、理由の一つにあると思われる。
 こうして、なり手がない貴重な産科医を訴訟で失った病院は、やむを得ず産科を閉じるしかなくなったのである。

去る医師
 100%でない医療など不要だ、と誰かが叫んだ。
 100%を保証できない医療など無い方がマシだ、と誰かが同調した。
 こう叫べば、どこかから100%の医療が降ってくるとでも思ったのであろうか。
 しかし医師は黙って現場を去り、医療はなくなった。

産科崩壊

序曲
 少子化が叫ばれる昨今、少しでも子供を増やさねばならないとされる中、日本では子供を産める産科の病院が壊滅している。半年前から予約しないと出産できない病院もある程である。
 それは、世界最高の医療を取り巻く状況が極めて劣悪だからである。
 その原因を作っているのは、日本の腐敗したマスコミと腐敗した警察であり、特に医療界と日本国民に致命傷を与えたのが「福島県立大野病院産婦人科医逮捕事件」であった。

産科激減
 大野病院のような、救いようのない事例で結果が悪かった時に刑事罰が問われるとなると、普通に考えて「お産」を診察対象にする医師は減る。
 我が国は、世界で最も安全なお産を提供できる力を持つ国であるが、このように警察当局の不当な介入、医師の不当逮捕がまかり通るようになると、医療側はリスクの高い医療を拒否する消極的医療にならざるを得ない。
 そして医師が無実の罪で逮捕・起訴されたため分娩機関の減少には拍車が掛かり、大学病院などに僅かに残るのみになってしまった。日本の周産期医療はほぼ崩壊したのである。

産科の将来
 大野病院事件の一審判決は無罪となった。しかし、単に崩壊の流れが加速しなかった、というだけで、現状ではもはや崩壊自体は止める術がない。
 将来、お産が出来る産科は稀少となり、日本人はせっかく手に入れた、世界最低の周産期死亡率を実現させた医療を放棄して昔ながらの死亡率の高いお産に逆戻りするか、海外で産まざるを得なくなる。
 国民は「モンスターペイシェント」(モンスター患者)によって安全に分娩する場所を失い、そして本邦の国是となった「少子化対策」に真っ向から反する結果をもたらしたのである。

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