準粒子
読み:じゅんりゅうし
外語:quasiparticle

 量子力学において、ある離散的な振る舞いをする粒子の集団(粒子系)が一つの仮想的な粒子として見なせる時、この仮想粒子を準粒子という。
目次

概要
 自然界の基本粒子(フェルミ粒子ボース粒子)とは異なり、実際にそのような粒子が存在するわけではない。
 そこにある「現象」が、あたかも「粒子であるかのように扱える」ときに、それを準粒子として扱い単純化することで、それによって生じる現象など本来説明したい本題の説明を容易にすることが可能となる。
 例えば、トランジスタの動作を説明するにあたり、電子が欠けている状態を「正孔」という準粒子としてみなす。正孔は電子と逆の電荷を持ったものとして扱うことで、理論の説明が比較的簡単になる。

特徴
 よくある準粒子として、次のようなものが使われる(順不同)。
正孔
 状態中に電子が欠けていることを表わす準粒子で、正電荷のキャリアである。
 これは、負電荷のキャリアである電子の反対の粒子であるとして扱うことができる。
フォノン (phonon)
 固体結晶格子の原子イオンの振動を表わす準粒子。音波を量子化したものとも言える。
 音響フォノンと光学フォノンとに分けられる。
マグノン (magnon)
 固体結晶格子の電子のスピン構造を表わす準粒子。スピン波を量子化したものとも言える。
プラズモン (plasmon)
 金属中の電子の振動を表わす準粒子。プラズマ振動を量子化したものとも言える。
ポラリトン (polariton)
 光子(フォトン)と光学フォノンとの相互作用を表わす準粒子。
 この相互作用による散乱はラマン散乱と呼ばれる。
ポーラロン (polaron)
 電子と電気分極から成る複合粒子。
ロトン (roton)
 液体ヘリウム4中に見られる励起を量子化したもの。

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