天然痘
読み:てんねんとう
外語:smallpox

 高熱と、全身に噴き出る発疹と激しい痛みを特徴とする、痘瘡ウイルス(天然痘ウイルス)を病原体とする感染症のこと。別名「痘瘡」(とうそう)。
目次

概要
 非常に強い感染力があり、6000年に渡り人類を脅かしてきた。その上、病原性が強いため、ワクチンが開発される以前は死亡率が30%〜40%と極めて高かった。
 こうして、例えば8世紀には奈良 平城京で猛威をふるい都を壊滅させ、11世紀にはヨーロッパが襲われ人口は1/3に激減、16世紀にはアステカ文明を滅ぼした。
 もし罹れば3割以上の確率で死亡、運良く治癒しても全身のブツブツ(膿疱)は気持ち悪いを通り越して既に恐怖であり、膿疱の痕(瘢痕、あばた)は治ること無く残った。このため、世界中で不治の病、悪魔の病気として恐れられた。

特徴

ワクチン
 1796(寛政8)年にエドワード・ジェンナー(Edward Jenner)により、天然痘(痘瘡ウイルス)と同属の牛痘ウイルス(病原性が弱い)をワクチンとして接種することで天然痘を防げることが発見され、世界初のワクチンが誕生した。
 1798(寛政10)年に成果が発表されて以降、天然痘の予防接種(種痘)が普及した。
 その後ワクチンは改良が続き、後に普及したワクチン「種痘ワクチン」は、牛痘ウイルスと天然痘ウイルスの雑種を使ったもので、天然痘ウイルスの抗体が効率よく作られるように工夫されていた。

駆逐
 1960年代、史上最大の感染爆発が起こり、世界で3000万人が倒れた。世界保健機関(WHO)は日本人の蟻田功を中心に1967(昭和42)年から10年間「天然痘根絶計画」を実施し、1980(昭和55)年5月、ついに病気根絶が宣言された。
 WHOによる天然痘撲滅の苦労話についてはNHKのプロジェクトX 第82回で紹介されている。

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