二重結合
読み:にじゅうけつごう
化学結合のうち、分子同士が二つの手で結合を結んでいる状態のこと。
概要
最も単純な二重結合であるエチレン(CH2=CH2)を例に取る。
単結合の時の炭素は、L殻にsp3混成軌道ができるが、この時の炭素にはsp2混成軌道が出来ている。これは1個のs軌道と2個のp軌道が混ざり合ってできた軌道である。p軌道は3個あるので、この時はp軌道が1つだけ元のまま残っていることになる。
そしてCH2同士が接近すると、3本あるsp2混成軌道のうちの1本ずつを混ざり合わせて結合する。この状態では1本のみで繋がっているので単結合だが、しかし、お互いのp軌道が接近しているので、混ざり合わせて結合することができる。こうして二重結合ができる。
特徴
結合
sp2同士の結合はσ結合と呼ばれ、単結合と同じ強さの結合である。一方、残ったp軌道同士の結合はπ結合といい、これはσ結合より弱い結合で、比較的容易に切れてしまう。
切断
π結合は軌道が接近しているために生じている弱い結合なので、軌道が離れてしまうと結合が切れてしまう。
そのため二重結合は回転、つまりねじることができず、同じ分子式でも構造の異なる分子、幾何異性体というものを生じる。
例えば最も単純な例と考えられるブテン(C4H10)を例に考えると、これは(H-C-CH3)=(H-C-CH3)という構造を持っているが、二重結合を境に、メチル基(CH3)が同じ側にあるか反対側にあるか、という異なる二種類の構造を持つことになる。
これは互いに異なる分子であり、同じ側にあるものがcis-ブテン、反対側にあるものがtrans-ブテンと呼ばれる。
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