エネルギー準位
読み:エネルギーじゅんい
外語:energy level
各電子軌道が持つ、エネルギーのこと。
概念
量子力学においては、物質のエネルギーは、原子核の周囲にある電子の振る舞いによって決まる。これは太陽のまわりを回る惑星のイメージに近い。但し、現実には電子は原子核の周囲を周ってはいない(量子論)ので、あくまで概念的な説明である。
ここで、太陽と惑星の間の力は万有引力(重力)であるのに対し、原子のエネルギーは、プラスの電荷を持つ原子核とマイナスの電荷を持つ電子の間に作用するクーロン引力である。どちらの力も、共に距離の2乗に反比例する。
量子論の世界
原子のようなミクロの世界は、太陽系のようなマクロな世界とは異なり、電子は自由な軌道をとることができない。電子は離散的に飛び飛びの軌道だけを取ることができ、それぞれの軌道に対応してエネルギーの値が決まっている。この値をエネルギー準位と呼ぶ。
エネルギー準位は、ミクロの世界を記述する物理学である量子力学の主量子数nによって記述され、そのエネルギーはEn=-(13.6eV/n2); n=1、2、…、である。従って内側ほど低エネルギーで、外ほど高エネルギーとなっている。
ここで、エネルギーが負数なのは、電子の軌道半径が無限大、つまり、電子が原子核に結合されなくなる時にE∞=0になるように決められているためである。なお電子が原子核から離れたとき、それは電離と呼ばれ、イオンと自由電子になる。
励起
原子は「準位のエネルギー差に等しいエネルギーの光」を吸収すると励起され、上の準位に上がる。また、上の準位から下の準位に落ちた時に「準位のエネルギー差に等しいエネルギーの光」が放出される。
E1とE2の関係の場合の光の周波数はhν=E2-E1となり、このような式を「ボーアの条件」という。
なお、上の準位に上がったり、下の準位に下がったりするとき、つまり軌道を変える場合は、電子は軌道間をジャンプする。決して、ある軌道から隣の軌道に向けて、螺旋を描くように移動するわけではない。量子論は、中途半端な値を許さないのが特徴である。
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