すばる望遠鏡
読み:すばるぼうえんきょう
外語:Subaru Telescope

 標高4205m、ハワイ・マウナケア山頂の文部科学省 国立天文台ハワイ観測所にある、口径8.2mの光学赤外線望遠鏡。1999(平成11)年9月に完成。
目次

特徴

規模
 単一鏡としては建設当時、世界最大(8.2m)・世界最高性能の反射望遠鏡である。
 150億光年の彼方、宇宙の端までを見渡せる望遠鏡、を実現させることを目標に作られた(ちなみに現在、宇宙は137億歳であることが判明している)。
 なお、8.2mの主鏡は、2006(平成18)年時点ではまだ単一鏡として世界最大のままである。しかし、2007(平成19)年に完成する予定のLBT(Large Binocular Telescope、8.4m×2枚)により、遂に世界最大の座を失う予定となっている。

口径と反射鏡
 鏡の材質はガラスにアルミニウムの膜が張られたものである。
 直径8.2mともなると、幾ら鏡が硬いガラスとはいえたわみの発生が避けられない。この問題は鏡自体を幾ら固くしても防ぐことは困難であるため、反射望遠鏡には口径の制限が存在した。
 しかし、これだけの口径が無ければ宇宙の端は見えない。そこですばる望遠鏡は鏡を261本のロボットアームで支え、歪みが発生した時にはアームの伸縮で歪みを矯正し、10万分の1mmの精度で調整するという斬新なメカニズムで問題を解決させたのである。

功績
 この望遠鏡により遠方の銀河の観測に成功したり、2002(平成14)年11月には南天のくじら座周辺で一度に18個もの超新星を発見(推定40〜70億光年)したり、数々の偉業を達成した。
 現在でも、まだ世界の一線級の望遠鏡である。

建設まで
 この望遠鏡は日本の威信を掛けた国家プロジェクトであり、予算400億円は税金から捻出された。
 8.2mのガラスを磨き上げること自体に4年の歳月を要するなど、望遠鏡の技術開発も大変な困難を極めたが、実はそれよりも、作るための予算確保が何倍も困難だったのである。
 しかしそんな苦労の甲斐あって、遠方の銀河観測分野では日本が世界をリードするまでになった。この誕生の苦労話についてはNHKのプロジェクトX 第19回で紹介されている。

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