APTT
読み:エイピーティーティー
外語:APTT: activated partial thromboplastin time
血液の止血作用を担う、凝固因子のはたらきを調べる検査の一つ。活性化部分トロンボプラスチン時間。
概要
血液の12ある凝固因子のうち、内因系のものを調べる検査である。
怪我などをして出血したときの血液凝固を外因系といい、障害を受けた組織より組織因子が放出されることでなされる凝固である。
対して内因系とは、血管内皮細胞が破壊されてコラーゲンが露出することにより生じる凝固をいう。
血液は様々な因子によって固まるが、特にAPTT検査は、次の凝固因子を反映する。
- 内因系凝固因子
- 第VIII因子
- 第IX因子
- 第XI因子
- 第XII因子
- 高分子キニノーゲン
- プレカリクレイン
- 共通系凝固因子
- 第I因子(フィブリノゲン)
- 第II因子(プロトロンビン)
- 第V因子
- 第X因子
検体検査においては、血液学的検査のうち「D006 出血・凝固検査」に分類されている。検査料は29点である。
特徴
検査目的
これのみで何らかの病気が判別できるわけではないが、出血傾向のスクリーニング(ふるい分け)として用いられている。
通常は、APTTのみでなく、外因系の検査であるプロトロンビン時間(PT)と共に実施され、比較することで病状が判断される。
APTTに関連する凝固因子の殆どは肝臓で作られるため、肝障害があると因子が減少し、APTTが延長することになる。そこでAPTTを調べ、間接的に肝障害の有無を判断することができる。
凝固因子のうち、第II因子(プロトロンビン)、第IX因子、第X因子は肝臓で作られる際にビタミンKを必要とするため、ビタミンK欠乏症ではこれらの因子が不足しAPTTが延長することになる。そこでAPTTを調べ、間接的にビタミンK欠乏症を判断するのに使う。
その他、先天的に生まれつき凝固因子を欠損する血友病でも因子が減少し、APTTは延長する。血友病Aは第VIII因子を、血友病Bは第IX因子を先天的に欠損している。
正常値
診療機関によって様々だが、一例として26.0〜38.0秒。
異常時
時間が短縮することはあまりなく、異常時は通常、因子不足によって時間が延長する。
PTとAPTTの延長の有無で、欠乏していると思われる因子が判断される。いずれも、単一の場合と複合の場合があるが、この検査だけでは判断できない。
- PT正常、APTT延長
- 第VIII因子
- 第IX因子
- 第XI因子
- 第XII因子
- PT延長、APTT正常
- PT延長、APTT延長
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