ヘリウム燃焼過程
読み:ヘリウムねんしょうかてい
外語:Helium fusion

 恒星にて行なわれている核融合反応の一つ。
目次

概要
 ヘリウム同士が融合する核融合反応。
 若い恒星は水素の核融合反応によってエネルギーとともにヘリウムを生成している。やがて老齢になり水素が減少し、かつ恒星質量が太陽の約半分以上であれば、恒星の自己重力により収縮が始まる。これにより温度が高まると、ヘリウムの核融合が開始される。

特徴

α粒子
 ヘリウム4原子核を「α粒子」といい、ヘリウム4に関わる反応をヘリウム燃焼過程という。
 同位体ヘリウム3もあるが、ヘリウム3に関する反応は、ヘリウム燃焼過程には含めない。

ベリリウム8
 ヘリウム4由来でもっとも基本的な核融合は、ベリリウム8を生成する融合である。
 しかしながらベリリウム8は極めて不安定である。一説では半減期が6.7×10−17秒とされ、瞬時にヘリウム2個に崩壊してしまう。
 これ以上の原子量を持つ元素を融合するためには、ベリリウム8が崩壊する前に更にもう一つヘリウム4を融合する必要があるが、恒星の通常状態では不可能である。これが可能になるのは、恒星の末期である。

トリプルアルファ反応
 恒星も末期となると、中心核の温度が1億Kを超える。
 この状態ではヘリウム同士の融合が頻度を増し、ベリリウム8の生成と崩壊が平衡するようになる。やがて、ベリリウムが崩壊する前に3個目のヘリウム4が融合して炭素12を作るようになる。
 3つのヘリウム4から炭素12が出来るように見えるこの反応が、トリプルアルファ反応である。
 こうして作られた12Cが、恒星内で行なわれる様々な核融合反応の「種」となる。

アルファ反応
 トリプルアルファ反応で作られた炭素12に、ヘリウム4が融合すると、酸素16ができる。このようにして、次々と元素を作っていく反応をアルファ反応という。
 通常は、ネオン20までである。しかし恒星末期になり、高温状態になるとさらに反応が進む。
 最後に、珪素が燃え始める珪素燃焼過程に進むことになる。
 しかしアルファ反応もニッケル56が限度であり、ここまで到達してしまった恒星は遂に燃やす物がなくなり、死に至ることになる。

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