保存料
読み:ほぞんりょう
食品の腐敗を抑えるために使われる
食品添加物
の一種。
目次
概要
特徴
機構
安全性の考え方
種類
指定添加物
既存添加物
概要
食品中に含まれる
黴
や
細菌
などの
微生物
の増殖を抑えることで、食品の変質や腐敗を防ぐことを目的とする。食品の保存性を高め、食中毒を予防する。
腐敗
を防ぐ働きから、防腐剤の一種でもある。
抗菌作用がある場合は抗菌剤の一種となるが、保存料という枠組みは殺菌作用を求めていないため、そのような保存料は微生物が増えてしまってから使用しても無意味である。
特徴
機構
安息香酸ナトリウム
では、
微生物
の呼吸酵素系を阻害することによって増殖を抑制し、腐敗を防ぐ。
細菌
や
酵母
には有効だが、
黴
(カビ)には効果が薄い。
ルビン酸ナトリウムでは、微生物の脱水素酵素系を阻害することによって増殖を抑制し、腐敗を防ぐ。特に酸性環境で有効である。
安全性の考え方
食品中に黴や細菌が繁殖すると、食中毒の原因となり最悪で死亡することもあるだけでなく、
発がん性物質
などが生成され各種の
がん
や
白血病
を誘発し最悪で死亡する危険性がある。
このため、食品の安全性を高める目的で、保存料は加工食品で広く使われている。
保存料そのものの安全性(有毒性)についても懸念は必要だが、現在広く使われている保存料では、保存料として使用される分量で動物実験でも人間ででも健康被害が生じたという信頼できる報告は存在しない。長い食習慣により、安全性に問題がないとみられるものが使われることが多い。
保存料無添加の加工食品は、添加されているものよりも危険である可能性がある。
種類
よく使用されている代表的な保存料は次の通りである。
指定添加物
人工的に合成される防腐剤などがこのカテゴリーになり、食品衛生法施行規則別表1に収載されている。
亜硫酸ナトリウム
(亜硫酸ソーダ)
安息香酸
安息香酸ナトリウム
(安息香酸Na)
次亜硫酸ナトリウム(次亜塩素酸ソーダ)
ソルビン酸
ソルビン酸カリウム(ソルビン酸K)
ソルビン酸ナトリウム(ソルビン酸Na)
デヒドロ酢酸ナトリウム
二酸化硫黄
(無水亜硫酸)
パラベン (パラオキシ安息香酸エステル)
(
アルキル基
) (n=6まで記載)
パラオキシ安息香酸メチル(メチルパラベン) [n=1]
パラオキシ安息香酸エチル(エチルパラベン) [n=2]
パラオキシ安息香酸プロピル(プロピルパラベン) [n=3]
パラオキシ安息香酸イソプロピル(イソプロピルパラベン) [n=3]
パラオキシ安息香酸ブチル(ブチルパラベン) [n=4]
パラオキシ安息香酸イソプチル(イソブチルパラベン) [n=4]
パラオキシ安息香酸ペンチル(ペンチルパラベン) [n=5]
パラオキシ安息香酸ヘキシル(ヘキシルパラベン) [n=6]
パラオキシ安息香酸ベンジル(ベンジルパラベン)
ピロ亜硫酸塩
ピロ亜硫酸ナトリウム
ピロ亜硫酸ナトリウム
プロピオン酸
プロピオン酸カルシウム(プロピオン酸Ca)
プロピオン酸ナトリウム(プロピオン酸Na)
既存添加物
天然に産する防腐剤などがこのカテゴリーになり、既存添加物名簿に収載されている。有効成分を()に、末尾に原材料を併記する。
カワラヨモギ抽出物 (カピリン) ‐ キク科カワラヨモギの全草
しらこたん白抽出物 (塩基性蛋白質) ‐ アイナメ、カラフトマス、シロザケ、ベニサケ、カツオ、ニシンの精巣
ツヤプリシン(抽出物) (ツヤプリシン類) ‐ アスナロ(ヒバ)の幹枝又は根
α-ツヤプリシン
β-ツヤプリシン (ヒノキチオール)
γ-ツヤプリシン
ペクチン分解物 (ガラクチュロン酸) ‐ ペクチンを酵素で分解
ε-ポリリシン (ε-ポリリシン) ‐ 放線菌の培養液
以下は、かつて既存添加物名簿に収載されていたが、削除されたもの。
ウド抽出物 (マグノロール) ‐ ウドの茎又は葉
エゴノキ抽出物 (安息香酸) ‐ アンソクコウノキの分泌液
酵素分解ハトムギ抽出物 (グルコースを構成糖とするオリゴ糖) ‐ ハトムギの種子を酵素で分解
ホオノキ抽出物 (マグノロール) ‐ ホオノキの樹皮
レンギョウ抽出物 (フィリリン) ‐ シナレンギョウ又はレンギョウの果実
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