つや姫
読み:つやひめ

 の品種の一つ。遂にコシヒカリを超える味の米が登場したとして、注目が集まっている。
目次

概要
 1998(平成10)年から山形県立農業試験場庄内支場(現 山形県農業総合研究センター農業生産技術試験場庄内支場)において育成された稲の品種である。
 2010(平成22)年10月に発売されて以来、山形県などで人気が高まっている品種で、全国的に販売されている。

情報
 母本はキヌヒカリ由来、父本はひとめぼれ由来で、いずれもコシヒカリ系の米である。

系譜図
コシヒカリ葯培養 …山形48号山形70号山形97号
収2800F1キヌヒカリ
北陸100号
 北陸96号ナゴユタカ
 コシヒカリ新潟30号味こだま東北164号
 新潟14号
 コシヒカリ東北143号ひとめぼれ
 初星

特徴

由来
 母本「山形70号」の父本「キヌヒカリ」は、短稈で耐倒伏性も強く、食味も優良でありながら広域適応性も持つ極早生品種である。温暖地を中心に普及したが、いもち病などに弱く栽培が難しかった。
 父本「東北164号」の父本の「ひとめぼれ」は、ササニシキに代わって普及した品種で、コシヒカリから耐冷性を引き継いだ冷害に強い品種だが、稲熱病(いもち病)などには弱い弱点があった。
 両系統を掛け合わせたこの品種は、父本の母本「味こだま」などからいもち病耐性を引き継ぎ、また障害型耐冷性も中程度を持つ、栽培しやすい品種となった。

特性
 出穂期は7月下旬から8月上旬、成熟期は9月下旬。共にコシヒカリ並で、育成地では「晩生」に属している。
 稈長は「コシヒカリ」より「短稈」で、耐倒伏性は「コシヒカリ」より強い「やや強」である。
 稲熱病(いもち病)耐性は、葉いもち抵抗性は「強」、穂いもち抵抗性は不明。稲いもち病真性抵抗性遺伝子は「Pii,Pik」と推定される。
 障害型耐冷性、穂発芽性は、共に「中」である。
 米の粒大は「コシヒカリ」と同じ22g程度。収量性は「コシヒカリ」より高い。
 外観は、光沢があり、白未熟粒(白濁米)が少ないことから、「コシヒカリ」を上回る。また、食味も「コシヒカリ」より良い。
 栽培適地は、山形県内では平坦部から南東北地域以南。

名称
 「つや姫」の名は公募から選ばれ、2009(平成21)年2月23日に決定した。
 名称はメールや葉書で募集され、最終3候補に絞られたあと、選考されたという。報道によれば、最終3候補に残った名前は、「山形97号」(4621票)、「出羽穂の香」(4060票)、「つや姫」(3285票)とのことである。
 「山形97号」の愛称を募集しているのに1位が「山形97号」というのは県民の本気を感じないが、ここまで美味い米になるとは、当時は誰も予想していなかったのだろう。
 山形97号は論外として、二つのうち、シンプルな名前として「つや姫」が選ばれたものと思われる。

栽培地
 栽培範囲は不明だが、寒冷地向けの品種と推定される。
 山形県から始まり、宮城県など産地は増加傾向にある。また、島根県など若干温暖な地域でも栽培されつつある。
 コシヒカリより高価なブランド米であったが、産地が増えるにつれ価格は下落傾向にある。


 驚くべき事に「コシヒカリ」より美味い。
 科学的にも、炊飯米に含まれる旨味アミノ酸の含有量として、グルタミン酸アスパラギン酸の量はコシヒカリよりも多いことが確認されている。
 近年、コシヒカリは味が落ちてきており、特にBL米(いもち病抵抗性系統)になってからは、味が落ちたと言われることが増えてきた。そこで、コシヒカリBLの後継米作りが本格化、その成果の一つとして誕生したのが、この「つや姫」である。
 恐らく日本一美味いコシヒカリである富山県産コシヒカリよりも価格が高い、強気の高級ブランド米として登場してきたが、試しに高いお金を出して味見してみるだけの価値はあると思われる。

補足

つや姫の日
 吉村美栄子 山形県知事を本部長とする、「山形つや姫ブランド化戦略推進本部」は、毎月28日を「つや姫の日」に制定した。
 つ=two=2、や=8、を由来とする。
 第一回「つや姫の日」は2012(平成24)年10月28日で、山形県内のほか、東京都の銀座にある山形県アンテナショップ「おいしい山形プラザ」などでPRが実施された。

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