猫の恩返し
読み:ねこのおんがえし
2002(平成14)年7月に公開された劇場用アニメ。"柊あおい" 著のマンガ、"バロン-猫の男爵-" を、アニメ制作会社の "スタジオジブリ" がアニメ化した。同時上映は、"ギブリーズ episode2"。
女子高生ハルは、ある日、車にはねられそうになった猫を助けた。その猫が実は猫の国の王子様だったために、猫達は、ハルの迷惑も顧みない強引な「恩返し」を始める。そして、ついには猫の国に招待され、あろうことか王子のお后にされることになってしまった。
この作品は1995(平成7)年に公開されたスタジオジブリ制作の劇場用アニメ、"耳をすませば"の姉妹編にあたる。"耳をすませば" も "猫の恩返し"も、"柊あおい" のマンガを原作としているが、"耳をすませば" の本編中に、主人公である "雫" が、"バロンのくれた物語" という物語を執筆している場面があり、この劇中作品に、"猫の恩返し" のキャラクターでもある "バロン" や "ムタ" が登場する。つまり、"猫の恩返し" は、雫がいつの日にか描いた物語という裏設定になっているのである。ただし、そのような裏設定など知らなくても作品鑑賞に不都合が生じることはまったくない。なお、原作マンガの "バロン-猫の男爵-" は、最初からスタジオジブリ若手によるアニメ化を前提として柊あおいに執筆依頼されたものである。
監督は、スタジオジブリの若手で、作画出身の森田宏幸が務めている。ジブリでは、この作品以前にスタジオ外部から監督を招へいするという形式での企画が頓挫していて、いつまでもベテラン監督の宮崎駿や高畑駿の力に頼っていては未来が無いジブリとしては、内部若手によるこの作品への期待はかなり大きかったといえる。
作品のテーマとして "自分探し" 的な言葉が全面に出されていたが、実際には、テーマがどうこうより、上映時間中ずっと気軽に楽しめるまんが映画として仕上がっている。
スタッフ
製作 松下武義、氏家齊一郎、星野康二、宮川智雄、
相原宏徳、高井英幸
原作 柊あおい「バロン-猫の男爵」徳間書店刊
企画 宮崎駿
監督 森田宏幸
脚本 吉田玲子
作画監督 井上鋭
美術監督 田中直哉
色彩設計 三笠修
映像演出 高橋賢太郎(T2 Studio)
録音演出 林和弘
整音 住谷真
音楽 野見祐二 (徳間ジャパンコミュニケーションズ)
制作プロデューサー 田中千義
製作プロデューサー 鈴木敏夫、高橋望
制作 スタジオジブリ
製作担当 奥田誠治、藤巻直哉
宣伝 伊勢伸平(東宝)
メイジャー
特別協賛 ハウス食品
特別協力 ローソン
配給 東宝
著作 猫乃手堂・TGNDHMT
徳間書店、スタジオジブリ、日本テレビ、
ディズニー、博報堂、三菱商事、東宝 提携作品
声優
ハル 池脇千鶴
バロン 袴田吉彦
ルーン 山田孝之
ユキ 前田亜季
ひろみ 佐藤仁美
ナトリ 佐戸井けん太
ナトル 濱田マリ
ムタ 渡辺哲
トト 斉藤洋介
ハルの母 岡江久美子
猫王 丹波哲郎
主題歌
「風になる」
作詞、作曲、歌 つじあやの
編曲 根岸孝旨
弦&管編曲 山本拓夫 つじあやの
(ビクター/スピードスターレコード)
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