ノドン
読み:ノドン
外語:<MOK><SEONG>
北朝鮮
の開発した、準中距離弾道ミサイル。
目次
概要
由来
沿革
ノドン1号
開発
1号発射実験1
1号発射実験2
最大射程
輸出
ノドン2号
発展形
仕様
ノドン1号
概要
由来
「ノドン」という呼称はミサイルの発射場近くの地名、「蘆洞」からアメリカが付けた呼び名である。
北鮮ではロドン(<LO><TONG>、Rodong)と発音されるが、
南鮮
では訛りによりノドン(<NO><TONG>、Nodong)となり、日本では南側の発音で呼ばれている。
当初日本では、同じ発音の「労働」と表現されていたがこれは全くの誤りである。なお、北朝鮮ではこのミサイルのことは「木星」というらしい。
このミサイルは、主として日本を攻撃するためのミサイルであり、既に実戦配備されている。
沿革
ノドンと、それに関わる政治動向は以下の通り。
1990(平成2)年5月 ‐ 最初の発射実験(失敗)
1991(平成3)年8月 ‐ 発射実験(成功)
1993(平成5)年5月29日 ‐ 日本海に向けて発射テストを実施
2002(平成14)年9月 ‐ 小泉純一郎首相が訪朝し金総書記と初会談、ミサイル発射凍結延長などを明記した日朝平壌宣言を発表
2004(平成16)年5月 ‐ 小泉首相が再訪朝、金総書記とミサイル発射凍結を確認
2006(平成18)年2月 ‐ 北京にて日朝政府間協議、北鮮は日朝平壌宣言のミサイル発射凍結を破棄する旨、通告
2006(平成18)年7月5日 ‐ ノドンを含む弾道ミサイルを7発を連続発射
ノドン1号
開発
ノドン1号は1988(昭和63)年よりR-17(スカッドB)改造ミサイルの最終体型である火星6と並行して開発が開始された。
ノドン1号はそれまでの火星とは異なり、それまでに得たノウハウを集結し、新規に開発されたミサイルである。
火星6(スカッド改C)は、火星5(スカッド改B)に対してペイロードを1,000kgから770kgに軽減させた見返りとして長射程(火星5の320km〜340kmに対し500km)を得ていたのに対し、ノドン1号の射程は1,000km以上となり、更にペイロードも火星5を上回った。
ノドンミサイルはR-17型を4本束にしたもので、その基本構造はR-17型と同一であると言われている。これはR-17型と全長/直径比が同じであることからも説明が付けられる。
1号発射実験1
ノドンミサイルは1990(平成2)年5月に最初の発射実験が行なわれたが、この時は失敗に終わっている。
続いて1991(平成3)年8月に行なわれたテストで成功を収めた。
1993(平成5)年5月29日には、日本海に向けて発射テストを実施し、成功した。この時一緒に3発の火星6も発射された上、火星5の射程圏内である500kmしか飛翔していないため、日本側は直ぐにはノドンと分からず、1993(平成5)年6月11日のアメリカ軍からもたらされた情報によって初めてそれと判明した。
1,000km以上も飛翔できるミサイルを、なぜ半分以下の距離でしか飛翔テストさせなかったのかについては、様々な憶測が飛び交った。最初はテストの失敗説も囁かれたが、着弾海域にナジン級フリゲートとトン級掃海艇が待機しており、観測任務に就いていた事から、間も無くその説は消えた。
代わりに浮上したのが、全射程を発射方向に延長すると日本に辿り着いてしまうため、日本を刺激しないとの意図から短くしたのではないかという説である。その効果があってか、日本ではノドンミサイルの模様がメディアに流れると
国民
は沸いたが、国民性からすぐに忘れ去られ、僅か5年後の
テポドン
試射の際に再び同じ状態となったのである。
1号発射実験2
ノドンの発射実験は、当初は上に述べたものしか知られていなかった。またその後も、再実験などは行なわれなかった。
通常、実戦配備のためには10回以上の試射が必要とされるが、この理由により、やはり失敗だったのではないか、あるいは技術的蓄積を得るためだけの実験的ミサイルに過ぎなかったのではないか、などの憶測が流れた。
実際には、北朝鮮は少なくとも4〜5回の試射を実施しており、それ以外にも輸出先の国が実施した試射データも得ているとされ、十分な試射データを持っていた。このような誤った情報もあって、
南鮮
当局が1995(平成7)年9月にノドンが既に実戦配備されていると述べた際に、自衛隊の西元統合幕僚会議議長は「実戦配備の可能性は低い」と述べている。
しかし、実際に1994(平成6)年には実戦配備が行なわれていたのである。
日本の情報収集能力の低さや、自分の有利な情報を信じてしまうという体質が浮き彫りとなった。
最大射程
最大射程にも各説がある。
最低でも1,000kmあることは間違いなさそうであるが、1,000kmという説と1,200kmであるとの説がある。
しかし、この射程内で北朝鮮の仮想敵国になりそうな国は、
日本国
しかない。
南鮮
ならば、前世代の火星で国土全体を射程に収めることが可能だからである。
1,000kmの場合、西日本・北陸以西を射程に収めることが出来るが、東京をはじめとする東日本は射程外となってしまう。「日本殲滅専用のミサイル」であるのに、その一部しか射程に収められないミサイルを開発するとは考えにくい。
したがって、1,200km説の方が正しいのではないかとする説も根強い。
輸出
ノドンは積極的に輸出され、外貨獲得の手段とされた。
パキスタンのガウリ1はノドンをベースに開発されたと見られているが、一説にはノドンそのものであるという。
また、ミサイル開発を北朝鮮に頼りきっているイランの場合、
シャハブ
1がワソン5(火星5、スカッド改B)、シャハブ2がワソン6(火星6、スカッド改C)であったのと同様に、シャハブ3はノドン1号そのものである。
ノドン2号
発展形
ノドンの発射実験直後、既にそれはノドン1号と呼ばれ、後継のノドン2号が存在が明るみとなり、それはテポドンも異なるミサイルであると言われるようになった。
ノドン2号がどのようなものかは不明だが、既に対日実戦配備が行なわれているとされる。
一説によると、射程は4,000km〜6,000kmであるとされる。
仕様
ノドン1号
詳細は定かではないが、知られる範囲内での仕様は次の通り。
開発国
北朝鮮
配備国
北朝鮮、イラン・イスラム共和国、パキスタン・イスラム共和国
種別
準中距離弾道ミサイル
プラットホーム
改修型MAZ543 TEL
全長
16.0m
直径
1.32m
発射重量
16,250kg
命中精度
CEP 3,000m
誘導方式
慣性
推進方式
一段式液体(
UDMH
+IRFNA)
射程
1,000〜1,300km
弾頭
単弾頭1,000kg(HE、核、化学、生物、子爆弾)
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