無力型生物兵器
読み:むりょくがたせいぶつへいき

 生物兵器の効果によって分類されるタイプの一つ。
 一般的に「生物兵器」と言われて多くの人が想像する殺傷型と異なり無力型は敵を殺傷することを目的としない。ただ戦争中、一切の戦闘能力を失わせてしまうことを目的としている。現代戦は短期で終了してしまうため、戦争が終結するまでに戦力を回復出来なければそれは殺害したのと同様の効果があるのである。しかし当人は死亡したわけではないため、生物兵器を使用した際の国際社会からの批判が少なくてすむ。如何に強力な兵器と言えども実際に使用できなければ「潜在的脅威」以上の効果は期待できないのである。また、実は無力型は殺傷型以上の効果をもたらす。死亡してしまった人間は袋に入れて「物」扱いが出来るが「無力化された兵士」はあくまでも生きているわけで、「物」扱いは当然できない。後送して手厚い看護体制の元に置かねば生物兵器を使われた側であるにも関わらず自らの方が批判されることになるからである。この「後送」は当然自軍の兵站・輸送能力を圧迫するし、後方での看護体制でも多くの人員を割かねばならず、その分敵軍の戦力はその兵士自身の分以上に削られることになるのである。
 しかし、これはあくまでも現代の正規戦で用いる場合の話である。生物兵器の使用で近年最も恐れられているバイオテロにおいては、全く意味を持たないタイプである。
 主な無力型生物兵器にはブルセラ菌やQ熱ウイルスがある。

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