強制収用
読み:きょうせいしゅうよう

 補償と引き換えに土地などの権利をや地方自治体等に売り渡すこと(収用)を、強制的に行なうこと。
目次

概要
 土地の所有は権利であるが、無条件に認められるわけではない。
 日本国憲法第29条で財産権が認められているが、同時に公共の福祉に反しない範囲と限定されており、そして私有財産は正当な補償の下に公共のために用いることが可能、としている。
 道路、ダム、空港の建設など公共の利益となる事業(公共事業)をおこなう場合、個人の利益よりも公の利益が優先される。

特徴

収用
 公共事業に必要な土地は国や地方地自体が取得する。これを、土地の「収用」という。
 その際は、国や地方自治体は地権者に対して説明をし、同意の元で任意契約により土地は買収される。その際、補償の基準に則って地権者に補償を行なわれる。
 円満な交渉により収用された場合は、譲渡所得5,000万円の特別控除と代替資産の取得という特例が受けられるというメリットがある。
 つまり譲渡益5,000万円までは課税されないので、その譲渡益で別の場所で土地を買い、家を新築できる。

収用の対象
 収用の対象は土地だけではない。
 漁業権、工業権、あるいは温泉利用の権利なども含まれている。

強制収用
 しかし、地権者が交渉に応じないなどして交渉が決裂した場合、土地収用法が使われる。
 土地収用法に基づく事業認定が申請されて認定を受けた場合、収用委員会で裁決され、強制収用するかどうかが正式に決定される。
 日本では、成田空港の強制収用における過激派テロリストとの闘争が有名。日本ではあまり強制収用は無く、実際に行なわれるときには相手が建設妨害の過激派テロリストの場合が多い。
 強制収用の場合は、強制的に土地が差し押さえられ、対価が地権者に支払われることになるが、この場合は税金の特別控除も受けられなくなる等、デメリットが多い。長期譲渡でも、国税・地方税合わせて20%も税金で取られてしまう。

プロ市民
 空港やダムはそれほど頻繁に作るものではないので、多いのは道路建設ということになる。
 地権者が立ち退かない場合、とりあえずその土地だけ残して道路を造る、などが行なわれることもある。
 
 最終的に、残った土地の収用手続きが始まることになるが、それでも動かない地権者と、慌てて判子を押す地権者に別れるようである。

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