ガイアックス
読み:ガイアックス
外語:GAIAX

 既存のガソリン車にそのまま利用できる、低公害が謳い文句の自動車用アルコール系燃料の一つ。韓国LGグループのLGケミカルが開発した。
 但し、2003(平成15)年よりガイアックス等の高濃度アルコール含有燃料は販売禁止となっている。
目次

特徴

安価の理由
 ガイアックスを始めとする高濃度アルコール含有燃料は、アルコールを混ぜてガソリンの比率を燃料全体の50%以下に抑えることで、本来ガソリンにかかる揮発油税を払わずに済み、安価であるのが特徴である。
 つまり、ガソリンに大量の水抜き剤を混ぜてみた燃料といえる。
 当初は非課税だったが、2001(平成13)年に旧自治省が軽油引取税を課すことを決定し、それに自治体が従った。

成分
 詳細な成分は非公開。石油類を原料に、メタノールやエタノール以外のアルコールを主成分とする。公称、アルコール類55%、炭化水素分45%で、オクタン価は100前後である。
 2001(平成13)年3月に環境省が実施した分析では、アルコール成分33.3%(メタノール0.1%、イソブタノール21.2%、イソプロパノール12.0%)、MTBE 17.4%、炭化水素分49.3%であった。

問題点

技術的問題
 この燃料の技術的な問題は、非対応のガソリンエンジンで使用すると燃料配管の金属(アルミニウム)やゴムなどに悪影響があり最悪でエンジン等が壊れてしまう点、ガソリンエンジン用に作られた排ガス触媒が機能しない点、汚染物質(ホルムアルデヒド等)が多く排出され低公害ではない点、エネルギー密度が低いため低パワーで燃費が悪い点があげられる。

価格的問題
 その他、原価では石油と比べ割高である点がある。この物質は、原価レベルではガソリンよりも高いのである。ガソリンよりも幾分安価なのは、税金が安いという理由一点に尽きる。
 これは自動車用燃料として正当な税金を納めていない問題があり、ガソリンと同等の課税をした場合に価格面などで競争力が全くないことは弱点といえる。
 つまりアルコール系とはいえ成分の多くは石油なので、枯渇が心配される石油の代替燃料としては弱い。低公害でもなく、リスクも大きい。結局、税金対策(≒脱税)以外にメリットのない燃料なので、税制が変わったら一巻の終わりであることは自明である。

自己責任
 ガソリンに対して安いため利用者も幾らかいるが、ガソリン車はガソリン以外が燃料に使われることを当然想定していない。
 従って、ガソリンでないガイアックスを燃料に使用して車が故障してもメーカーの保証は受けられないので、使用は全て自己責任・自己判断となる。

規制
 しかし利用して燃料漏れや火災などが相次いだということで、経済産業省と国土交通省が安全評価を実施、最終的には安全上問題であると判断され、規制する法律整備の準備を始めることとなった。
 2003(平成15)年2月1日に経済産業省が発表したところによると、法改正により、ガソリンに占めるアルコール比率の上限を10%程度とし、それを超えるものを販売禁止にする方向で法改正を進めることとなったようである。

訴訟
 ガイアックスの販売に軽油引取税を課税するのは違法とし、東京都の販売店が東京都を相手取り、約1億円の課税処分取り消しを求めた訴訟があった。
 2006(平成18)年6月19日、最高裁第2小法廷(今井功裁判長)は、「課税は適法」とする判断を示し、原告上告棄却する判決を言い渡した。もって販売店側の敗訴が確定した。

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