ロータリーエンジン
読み:ロータリーエンジン

 吸気/圧縮/爆発/排気を繭形のシリンダー内を回転する三角形のピストンで行なうエンジン
目次

機構
 往復の線運動から円運動に変換するときの死点が無いことからスムーズに回転し、ピストンの上下運動がない分パワー損失や振動がなく、効率がよい。
 小型化にも利点があるが、シリンダーの制御が非常に難しい。
 もともとは西ドイツで開発されたが、実用化したのは東洋工業(現・マツダ)である。

概要

動作
 通常のピストン機関のエンジンは「レシプロエンジン」という。このレシプロはピストンが上下運動するため、動力の発生にムラが発生し、また回転数によるトルク差が大きいという難点がある。そこで、工夫として水平対向など、様々な技術がある。
 対してロータリーは、均等な回転運動なので動力発生にムラが発生せず、回転数でのトルク差が小さい。
 このように、ロータリーエンジンは優秀なエンジンなのであるが、普及しなかった。なぜかと言えば、燃費が悪い、それも激烈に悪いからである。

燃費
 燃費が悪い。ガソリンで280馬力、街乗りで5km/L程度、高速なら7〜8km/L程度の燃費である。
 しかし、ロータリーエンジン乗りで燃費云々言うのは愚の骨頂。マニアに言わせれば、こうである。
 燃費云々する車じゃねーよ
 ガソリン値上げでキツイ?どんだけ貧乏なんだよw
 地球の敵?その通り。
 REのメリット?ねーよw 優等生な車に乗りたけりゃ一生ヨタ車でも乗ってろ!
 このような感じである。

難点
 結論をまとめると、こうである。
 デメリットばかりのようであるが、それでもロータリーには、マニアを引きつける魅力がある。

特徴

コンパクト
 ロータリーエンジンの最大の特徴は、コンパクトであることである。
 1ローターが3シリンダーに相当するため、コンパクトにできる。部品点数は少なくできるようだが、軽量化にはなっていない。ロータリーエンジンは決して軽くはなく、2000ccクラスのエンジンとしては、燃費もパワーも普通以下である。
 ただ、パワーの割に小型であるため、重量物であるエンジンの搭載位置を、ホイールベース内に納める事が可能である。また、エンジンをドライバーに近付け、ホイールベースを短くすることも可能となる。
 かくして、コマのようにクルクル回る、回頭性の良い車を作ることができる。それが「RX-7」であり、ロータリーエンジンでしか作れないスポーツカーなのである。
 なお、コンパクトではあるが、非常に重量級のクランクがかなり高い位置にあるので、重心がありえないほど高いという難点がある。ハンドリングは決して最良とは言い切れない。

燃焼関係
 ロータリーは、燃焼室の形状が悪いため圧縮率が悪く、もって未燃焼ガスも多い。
 しかし、燃焼室が分断されているということは、レシプロと比較して過給しやすい、すなわちターボとの相性が良い、爆発しやすい水素との相性が抜群である、という利点が残っていることを意味する。
 軽量かつ小型なので、デザイン面での自由度も高い。RX-8のボンネットの低さは異常でもあるが、このため下方視界が良好である。

将来性
 水素ロータリーエンジンは、BMWの水素エンジン、あるいは各社燃料電池よりも、現在のシステムを殆ど変えずに実現できるためコスト的に優れているとされる。
 現在のものはガソリン・水素のデュアルフューエルのため、水素だと100馬力ぐらいしか出ないが、水素専用設計なら200馬力程度までは実現できると言われている。
 あとは水素インフラが整うのを待つだけである。もっとも、水素吸蔵合金も微妙であるし、ボンベの問題もあるため、一朝一夕には行かないようである。

マツダ
 マツダは倒産の危機に瀕するたびに、不死鳥のように復活してきた。その救世主の一つがロータリーエンジンだった。
 オイルショックにも負けず、ロータリー係数の嫌がらせにも負けず、そんなマツダのロータリーに天は再び水素を与えた。
 もっとも、大手メーカーの水素自動車が出来るまでは水素インフラは整備されることは無いと思われる。また、その頃には水素ロータリーの低コストの利点も燃料電池車の前では無くなっている可能性が高い。
 ガソリン用のロータリーは、燃費性能などを課題として、2012(平成24)年6月22日、RX-8の製造を最後として一旦製造が終了された。RX-8の後継機の予定はなく、将来的には水素を燃料としたロータリーエンジンを発電機として使う電気自動車をリース販売すると発表している。

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