特定秘密の保護に関する法律
読み:とくていひみつの-ほごにかんする-ほうりつ
国の安全保障に関して特に重要な情報を「特定秘密」に指定して取り扱う人を限定し、それを外部に知らせたり、外部から知ろうとする人を処罰することによって、特定秘密を守るための法律。
目次
情報
概要
沿革
目的と趣旨
民主党対案
報道での反論
特定秘密の指定
審議
衆議院
参議院
反対者
報道
団体
ジャーナリスト
研究者
表現人の会
映画人の会
演劇人
宗教界
情報
略称: 特定秘密保護法
通称: スパイ防止法、秘密法、治安維持法(←おもにスパイから)、国家機密漏洩防止法
番号: 平成二十五年十二月十三日法律第百八号
効力: 現行法
種類: 公法
関連する法律等
刑法
自衛隊法
概要
沿革
2013(平成25)年11月26日: 衆議院で可決
2013(平成25)年12月5日: 参院国家安全保障特別委員会、賛成多数で可決
2013(平成25)年12月6日: 民主党、妨害のため内閣不信任決議案を衆議院に提出
2013(平成25)年12月6日: 参議院で可決、成立 (賛成130票、反対82票)
2013(平成25)年12月13日: 公布
2014(平成26)年12月10日: 施行
目的と趣旨
国防、外交、特定有害活動(スパイ活動)、及びテロリズムの防止に関する情報が、敵国やテロリストに漏洩しないよう保護するための、スパイ防止法の一種である。
指定される特定秘密は後述するが、安倍総理は「42万件の特定秘密情報のうち9割は衛星写真、残りは自衛隊などが用いる暗号に関わるもの。衛星写真は写っているものが秘密ではなくなっても、どれだけの解像度の衛星を持っていたかが特定秘密にあたる」とした。
これに対して反対したり、これらの情報も隠さず公開すべきだ、というのは、地球の常識では、スパイである。
民主党対案
民主党は、一応、対案を出した。対案の趣旨は次の通りである。
法律の目的は「外国との情報共有」
外国のスパイは法律の規制対象外
防衛機密は認めない
全く正反対のスパイ推進法案であり、民主党とは議論する価値もなかった。
報道での反論
朝日新聞やサヨクが、この法案でしきりに「不当逮捕される」「秘密の指定が曖昧」などとして反対した。しかし彼らは、人権擁護法案の時には、何も言わなかった。
理由は次の通りである。
スパイが逮捕されるのが特定秘密保護法案
スパイが逮捕するのが人権擁護法案
特定秘密の指定
特定秘密の指定は、法 第三条により、次のような事項であると定義されている。
一 防衛に関する事項
イ
自衛隊
の運用又はこれに関する見積り若しくは計画若しくは研究
ロ 防衛に関し収集した電波情報、画像情報その他の重要な情報
ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力
ニ 防衛力の整備に関する見積り若しくは計画又は研究
ホ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物(船舶を含む。チ及びリにおいて同じ。)の種類又は数量
ヘ 防衛の用に供する通信網の構成又は通信の方法
ト 防衛の用に供する暗号
チ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの仕様、性能又は使用方法
リ 武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物又はこれらの物の研究開発段階のものの製作、検査、修理又は試験の方法
ヌ 防衛の用に供する施設の設計、性能又は内部の用途(ヘに掲げるものを除く。)
二 外交に関する事項
イ 外国の政府又は国際機関との交渉又は協力の方針又は内容のうち、国民の生命及び身体の保護、領域の保全その他の安全保障に関する重要なもの
ロ 安全保障のために我が国が実施する貨物の輸出若しくは輸入の禁止その他の措置又はその方針(第一号イ若しくはニ、第三号イ又は第四号イに掲げるものを除く。)
ハ 安全保障に関し収集した条約その他の国際約束に基づき保護することが必要な情報その他の重要な情報(第一号ロ、第三号ロ又は第四号ロに掲げるものを除く。)
ニ ハに掲げる情報の収集整理又はその能力
ホ 外務省本省と在外公館との間の通信その他の外交の用に供する暗号
三 特定有害活動の防止に関する事項
イ 特定有害活動による被害の発生若しくは拡大の防止(以下この号において「特定有害活動の防止」という。)のための措置又はこれに関する計画若しくは研究
ロ 特定有害活動の防止に関し収集した外国の政府又は国際機関からの情報その他の重要な情報
ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力
ニ 特定有害活動の防止の用に供する暗号
四 テロリズムの防止に関する事項
イ テロリズムによる被害の発生若しくは拡大の防止(以下この号において「テロリズムの防止」という。)のための措置又はこれに関する計画若しくは研究
ロ テロリズムの防止に関し収集した外国の政府又は国際機関からの情報その他の重要な情報
ハ ロに掲げる情報の収集整理又はその能力
ニ テロリズムの防止の用に供する暗号
審議
衆議院
反対
みんなの党 井出庸生
みんなの党 林宙紀
退席
自由民主党 村上誠一郎
みんなの党 江田憲司
政党として反対または退席
日本維新の会
民主党
日本共産党
社会民主党
参議院
賛成130票、反対82票。
反対者
報道
左傾新聞やテレビなどは、徹底的な反対報道を繰り広げた。
自民党が長く日本の政治を担っている頃には使われていたが、民主党が政権を取っていた間は「なり」を潜めていた用語「緊急上程」「強行採決」などの用語が、数年ぶりに復活した。
団体
報道によると、次のような団体が、反対・懸念を表明した。
日本弁護士連合会
自由法曹団
日本科学者会議
全国市民オンブズマン連絡会議
アムネスティ日本
日本ペンクラブ
日本外国特派員協会
日本新聞協会
日本民間放送連盟
日本雑誌協会
日本書籍出版協会
日本新聞労働組合連合(新聞労連)
日本民間放送労働組合連合会(民放労連)
日本出版労働組合連合会(出版労連)
また、法案成立後は、これら団体が抗議声明を出している。
ジャーナリスト
ジャーナリストらを中心として、「知る権利侵害、廃案を」と訴えた。
反対を訴えたのは、以下である(50音順)。
ア行
青木理
赤江珠緒
秋山豊寛
阿佐部伸一
飯田昌宏
池内紀
池田香代子
石丸次郎
板垣英憲
井上啓子
今西直之
稲泉連
井部正之
宇野淑子
魚住昭
永六輔
恵谷治
江川紹子
大治浩之輔
大沢悠里
太田昌克
太田和彦
大谷昭宏
大山勝男
岡留安則
岡本厚
小川和久
荻原博子
カ行
角田光代
桂敬一
金子なおか
金平茂紀
鎌田慧
神浦元彰
香山リカ
川村晃司
神林広恵
潟永秀一郎
梶原茂
菊地泰博
岸井成格
北村肇
木村三浩
京谷六二
熊谷博子
見城美枝子
小中陽太郎
小林よしのり
小山唯史
是枝裕和
近藤勝重
後藤正治
サ行
坂上香
桜井均
佐高信
佐野眞一
佐野岳士
佐保充邦
澤地久枝
椎名誠
重信メイ
篠田博之
島直紀
柴田鉄治
渋井哲也
下桐治
下村健一
白石草
神保哲生
神保太郎
菅原文太
杉田文彦
鈴木崇司
鈴木琢磨
鈴木祐太
須田慎一郎
曽山睦子
曽根英二
タ行
高賛侑
高世仁
高野孟
高野秀行
高橋茂
武田頼政
田島泰彦
田勢康弘
玉本英子
棚原勝也
田原総一朗
土江真樹子
寺田俊治
戸崎賢二
歳川隆雄
富坂聰
富松裕之
鳥越俊太郎
ナ行
中井信介
なかにし礼
中村うさぎ
中山和郎
永田浩三
永谷脩
西山太吉
西村秀樹
ハ行
藤井誠二
藤田昭彦
藤本順一
二木啓孝
原憲一
原寿雄
久田恵
平井康嗣
ピーター・バラカン
古川柳子
保阪正康
堀米香奈子
本田雅和
マ行
牧太郎
真々田弘
三上智恵
三井直也
南丘喜八郎
村上雅道
室井佑月
毛利甚八
森達也
森功
ヤ行
安田浩一
矢崎泰久
山口正紀
山田厚史
山中幸男
吉岡忍
吉田司
吉富有治
吉永みち子
与良正男
ラ行
ワ行
綿井健陽
研究者
樋口陽一・東北大名誉教授(憲法学)、加藤陽子・東京大教授(歴史学)、姜尚中・聖学院大教授(政治学)。佐和隆光・京都大名誉教授(経済学)らを中心として反対学者が集まっているという。
特定秘密保護法案の廃案を求める声明を出した研究者(2013(平成25)年11月28日現在)は、以下である(50音順)。
ア行
浅倉むつ子 (早稲田大教授、法学)
池内了 (総合研究大学院大教授、天文学)
伊藤誠 (東京大名誉教授、経済学)
上田誠也 (東京大名誉教授、地震学)
上野千鶴子 (立命館大特別招聘教授、社会学)
内田樹 (神戸女学院大名誉教授、哲学)
内海愛子 (大阪経済法科大アジア太平洋研究センター特任教授、歴史社会学)
宇野重規 (東京大教授、政治学)
大沢真理 (東京大教授、社会学)
小熊英二 (慶応大教授、社会学)
小沢弘明 (千葉大教授、歴史学)
カ行
加藤節 (成蹊大名誉教授、政治学)
加藤陽子 (東京大教授、歴史学)
金子勝 (慶応大教授、経済学)
姜尚中 (聖学院大全学教授、政治学) 在日朝鮮人
久保亨 (信州大教授、歴史学)
栗原彬 (立教大名誉教授、政治社会学)
小森陽一 (東京大教授、文学)
サ行
佐藤学 (学習院大教授、教育学)
佐和隆光 (京都大名誉教授、経済学)
白川英樹
(筑波大名誉教授) ノーベル化学賞受賞者
杉田敦 (法政大教授、政治学)
タ行
高橋哲哉 (東京大教授、哲学)
ナ行
野田正彰 (元関西学院大教授、精神医学)
ハ行
樋口陽一 (東北大名誉教授、憲法学)
広渡清吾 (専修大教授、法学)
マ行
益川敏英 (京都大名誉教授、物理学)
ノーベル物理学賞
受賞者
宮本憲一 (大阪市立大・滋賀大名誉教授、経済学)
ヤ行
ラ行
ワ行
鷲田清一 (大谷大教授、哲学)
鷲谷いづみ (東京大教授、生態学)
和田春樹 (東京大名誉教授、歴史学)
表現人の会
2013(平成25)年12月3日の日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」によると、「特定秘密保護法案に反対する音楽・美術・演劇・映像・出版など表現に関わる人の会」(表現人の会)が2日、立ちあげられ、「『特定秘密保護法案』に反対する声明」を発表したとする。
声明では、法案が「平和で民主的な社会を基盤として成り立つ、音楽・芸能、美術、文学、映画、写真などの創造的な営みや、出版・報道・放送など、さまざまな表現活動の自由を損なうもの」とし、「衆議院での強行採決に強く抗議し、すみやかに廃案」を求めている。
同日午後4時現在、28人の発起人代表をはじめ、91人が発起人に名を連ねているとされる。
表現人の会の発起人代表28人は以下とされている。
浅田彰 (京都造形芸術大学教授)
伊藤銀次 (音楽家)
岩井俊二 (映画監督)
上野耕路 (作曲家)
大友良英 (音楽家)
鴻上尚史 (作家/演出家)
國分功一郎 (哲学者)
後藤正文 (ミュージシャン)
小沼純一 (批評家)
坂本龍一 (音楽家)
島本脩二 (編集者)
信藤三雄 (アートディレクター)
杉山知之 (デジタルハリウッド大学学長)
高野寛 (音楽家)
高橋靖子 (スタイリスト)
高橋幸宏 (音楽家)
田島一成 (写真家)
津田大介 (ジャーナリスト)
中沢新一 (哲学者、人類学者、宗教学者)
中島英樹 (グラフィック・デザイナー)
奈良美智 (美術家)
ピーター・バラカン (ブロードキャスター)
堀潤 (ジャーナリスト)
巻上公一 (音楽家)
三輪眞弘 (作曲家/情報科学芸術大学院大学教授)
村上龍 (作家)
森達也 (作家・映画監督)
安田登 (能楽師)
映画人の会
2013(平成25)年12月3日、「特定秘密保護法案に反対する映画人の会」が発足し、4日間で264人が賛同したという。
名前が知られている賛同者は以下の通りである。
呼びかけ人
高畑勲・アニメーション映画監督
羽田澄子・記録映画作家
降旗康男・映画監督
山田洋次
映画監督
井筒和幸
大林宣彦
鎌仲ひとみ
神山征二郎
是枝裕和
原田眞人
宮崎駿
山本晋也
出目昌伸
俳優
大竹しのぶ
鈴木瑞穂
上田耕一
山本亘
吉永小百合
脚本家
小山内美江子
ジェームス三木
白鳥あかね
山田太一
そのほか
野上照代(元・黒澤映画スタッフ、「母べえ」原作者)
撮影監督、映画館主、評論家らのほか、映画ファン約60人も加わったという。
演劇人
2013(平成25)年11月20日の日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」によると、「私たち演劇人は反対します」として23団体が緊急アピールをしたという。
23劇団による秘密保護法反対の緊急アピールに名前を連ねた劇団は次のとおりである。
劇団1980 (代表・柴田義之)
ミュージカルカンパニー・イッツフォーリーズ (代表・土屋由美)
劇団うりんこ (代表・原田邦英)
劇団NLT (代表・川端槇二)
演劇集団円 (代表・橋爪功)
劇団風の子 (協議会議長・金田拓)
関西芸術座 (代表・門田裕)
劇団京芸 (代表・藤沢薫)
こまつ座 (代表・井上麻矢)
劇団昴 (杉本了三)
秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場 (代表・福島明夫)
前進座
テアトル・エコー (代表・熊倉一雄)
劇団東演 (代表・山田珠眞子)
東京演劇アンサンブル (代表・入江洋佑、志賀澤子)
東京芸術座 (代表・北原章彦)
劇団銅鑼 (代表・佐藤文雄)
俳優座 (代表・岩崎加根子)
人形劇団プーク (代表・渡辺真知子)
文学座 (代表・加藤武)
劇団文化座 (代表・佐々木愛)
劇団民藝 (代表・奈良岡朋子)
無名塾 (代表・仲代達矢)
宗教界
宗教界も、廃案を求める要望を出したという。
報道がある中では、次が反対している。
真宗大谷派
(
東本願寺
)
日本カトリック司教協議会の機関「日本カトリック正義と平和協議会(正平協)」
プロテスタント諸派「日本キリスト教協議会(NCC)」
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