無期懲役
読み:むきちょうえき
外語:life imprisonment

 日本の刑法で定められている罰の一つ。懲役のうち、その刑期を定めていないもの。
目次

概要
 「無期」とは、有期刑と違い、その刑の満了する期日が決められていないことを意味する。
 つまり、意味的には「終身刑」と同義と解釈され、無期懲役は英語では終身刑を意味する「life imprisonment」があてがわれている。但し、日本の無期懲役には「仮釈放」という制度があるため、「日本には終身刑は存在していない」とも言える。
 なお、仮釈放は刑期を終えて出所することとは全く違う。刑務所を出て帰宅してもなお無期懲役の刑期内であり、仮釈放中に犯罪を起こせば「仮釈放の取消し」となり、すぐさま塀の中に逆戻りとなる。当人に改善があれば再び仮釈放もありうるが、無ければ二度と生きて塀の外には出られない。

特徴

仮釈放
 刑法第28条に、次のように規定される。
 第五章 仮釈放
 (仮釈放)
 第二十八条 懲役又は禁錮に処せられた者に改悛の状があるときは、有期刑についてはその刑期の三分の一を、無期刑については十年を経過した後、行政官庁の処分によって仮に釈放することができる。
 このため、かつては無期懲役囚でも早ければ12〜3年で仮釈放が認められ、出所していた時代があった。
 つまり人を何人も殺し、無期懲役囚として刑務所に収監されても、中で模範囚になれば、最短10年程度で仮釈放、ということである。この仮出所を決めるのは刑務所所長であり、裁判官ではない。
 ただし現在ではこれも変化している。被害者遺族への配慮などから2004(平成16)年の刑法改正で有期刑の最長が20年から30年に引き上げられた。これにより、無期懲役囚が30年の有期刑の受刑者より先に仮釈放されることは困難となっている。

仮釈放の審理
 仮釈放の審理は、かつては被害者の意見は無視されていた。現在は被害者側が口頭あるいは書面で意見を差し伸べる権利が認められている。
 この意見も含め、十分な要件を満たしたと判断された場合、仮釈放が認められる。
 つまり、この条件が満たされなければ、無期懲役囚は一生涯、刑務所に拘禁されることになる。

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