業務妨害罪
読み:ぎょうむぼうがいざい

 威力や偽計を用いて他人の業務を妨害することによって成立する罪。
目次

概要
 信用毀損罪(名誉毀損罪)と同様に、自由主義経済を揺るがし利益を害するため、処罰の対象となっている。
 日本の刑法では、次が該当する。

業務妨害罪

趣旨
 デマを流して、営利・非営利問わずその活動を妨げようとする行為を放置すると、多くの利益を害する。相手が民間であれ、公務員であれ、それは同様である。
 被害者側が、それはデマであると説明するのにも、手間暇費用が掛かるのみならず、デマの拡散が早ければ、それがデマであるとの周知が間に合わないことも少なくない。とくにネット社会となった現在では、情報の拡散が早いためそれが顕著である。
 従ってこういった行為は放置してはならず、刑法によって厳しく戒められている。

予備、未遂
 予備罪は既定されていない。
 電子計算機損壊等業務妨害に限り、未遂罪が既定されている。

刑法
 刑法に次のように規定される。
 第三十五章 信用及び業務に対する罪
 (信用毀損及び業務妨害)
 第二百三十三条 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
 (威力業務妨害)
 第二百三十四条 威力を用いて人の業務を妨害した者も、前条の例による。
 (電子計算機損壊等業務妨害)
 第二百三十四条の二 人の業務に使用する電子計算機若しくはその用に供する電磁的記録を損壊し、若しくは人の業務に使用する電子計算機に虚偽の情報若しくは不正な指令を与え、又はその他の方法により、電子計算機に使用目的に沿うべき動作をさせず、又は使用目的に反する動作をさせて、人の業務を妨害した者は、五年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
 2 前項の罪の未遂は、罰する。


 いわゆる「信用毀損罪」と「偽計業務妨害罪」は第233条で定められ、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金刑となる。
 いわゆる「威力業務妨害罪」は第234条で定められ、上と刑罰は同じである。
 電子計算機に侵入し、データの改竄、破壊、無断盗用、漏洩といった行為も、業務妨害罪の一つとして犯罪になった。「電子計算機損壊等業務妨害罪」は、データの変更を伴わない不正なアクセスに対しても適用でき、刑罰は5年以下の懲役又は100万円以下の罰金である。
 人や商店企業等に対するものより、後から追加された「電子計算機損壊等業務妨害」の方が罪が倍重いという、非常に偏った既定がなされている。

業務の定義
 刑法に「業務」の定義は記されていないが、判例によって示されている。

建造物侵入、威力業務妨害

業務妨害被告事件

結論
 公務員の公務は、経済活動ではないが、上のような判例により、「強制力を行使する権力的公務」(例えば警察が令状に基づいて犯人逮捕するようば場合)を除いては「業務」であるとされている。
 直接の判例はないが、自衛隊の災害救助業務(炊き出しなど)の「公務」も、同様に「業務」にあたると考えられる。自衛隊活動はプロ市民の妨害に合うことが多く、災害活動ですらばも同様であるが、もし妨害すれば業務妨害罪、力尽くで妨害をするようなら公務執行妨害罪となる。
 かくして、刑法上の「業務」は、経済活動に限らず、より広い範囲を指すことが判例で示された。これは、日常では乗用車での事故の際にも適用される「業務上過失致死」の「業務」も同様である。

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