日本国憲法第8条
読み:にほんこくけんぽう-だいはちじょう
外語:Article 8 of the Constitution of Japan

 日本国憲法第1章にある日本国憲法の条文の一つで、皇室の財産授受は国会の議決が必要である旨を規定する。
目次

条文

日本語
 条文は次の通り。
 第一章 天皇
 第八条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、財産を譲り受け、若しくは賜与することは、国会の議決に基かなければならない。

英語
 日本国首相官邸公式サイト掲載の英文(正文ではない翻訳)では、次のようになっている。
 CHAPTER I. THE EMPEROR
 Article 8.
 No property can be given to, or received by, the Imperial House, nor can any gifts be made therefrom, without the authorization of the Diet.

考え方
 皇室の財産授受について制限を掛けるための規定である。
 皇室が財産を譲り受ける(≠買う)、または財産を譲る(≠売る)、または賜与する場合、それは国会(立法権)の承認が必要であることが規定されている。
 憲法では例外規定がないので、「皇室経済法」という法律で皇室に可能なことが規定されていて、同法では次のように規定される。
 第二条 左の各号の一に該当する場合においては、その度ごとに国会の議決を経なくても、皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が財産を譲り受け、若しくは賜与することができる。
 一 相当の対価による売買等通常の私的経済行為に係る場合
 二 外国交際のための儀礼上の贈答に係る場合
 三 公共のためになす遺贈又は遺産の賜与に係る場合
 四 前各号に掲げる場合を除く外、毎年四月一日から翌年三月三十一日までの期間内に、皇室がなす賜与又は譲受に係る財産の価額が、別に法律で定める一定価額に達するに至るまでの場合
 つまり分かりやすくすると、この憲法条文の範囲内で可能な皇族の財産移動は、次のとおりである。
  1. 相当の対価による売買等の私的経済行為 (つまり、私的な買い物)
  2. 外国交際のための儀礼上の贈答
  3. 公共のためにされる、遺贈や贈与
  4. 各年度内ごとに、一定限度内での賜与又は譲受
 関連して、日本国憲法第88条にて、皇室財産の国属と、予算について規定されている。

関連する条文

関連法

前後の条文
 日本国憲法第7条日本国憲法第8条日本国憲法第9条

GHQ草案
 この条文の、GHQ草案は次のとおり。

英語
 CHAPTER I. The Emperor
 Article VII.
 No grants of money or other property shall be made to the Imperial Throne, and no expenditures shall be made by the Imperial Throne, unless authorized by the Diet.

日本語
 第一章 皇帝
 第七条 国会ノ許諾ナクシテハ皇位ニ金銭又ハ其ノ他ノ財産ヲ授与スルコトヲ得ス又皇位ハ何等ノ支出ヲ為スコトヲ得ス

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